私の通訳ガイドの初体験をご紹介いたします。皆様のご参考になれば幸甚です。
その一 仕事の「いきさつ」(なぜ通訳ガイドの初仕事が私の元に舞い込んだか?)
桜が満開の時期に、日本を代表する観光地・京都へ欧米のワイン業者をご案内する、という通訳ガイドとして素晴らしい晴れ舞台の仕事を、なぜ通訳ガイド初心者である私が経験することができたのか。まずはその時の「いきさつ」からお話致します。
1月のとある日のこと、富士通訳ガイドアカデミーの同期合格者であるT氏から、電話が入りました。「M銀行時代の友人が現在旅行会社の部長として活躍しているのだが、そこで自分の同期たちを通訳ガイドとして使ってくれないかと話してあった、そしたら今年の春にワインの業者の人たちを40名ほど京都を案内する話があって、通訳ガイドが2名必要らしい。同期で現在通訳ガイドとして頑張っている人を紹介してくれないか。」
早速現在通訳ガイドとして活躍している同期2名(緒車さんと津野さん)に連絡を入れました。ところが、お2人とも、観光シーズンである4月のその時期は、すでに別件の仕事がはいっているとのこと。
どうしよう!あとは誰に連絡すればようのだろうか、と迷う私にふとアイデアがひらめきました。「私にも通訳ガイドができるのではないか!」そう思い始めたらいてもたってもいられません。「こんなチャンスは2度と来ない!」通訳ガイドの一人は自分と思い定め、富士通訳ガイドアカデミーのネットワークから富士アカデミー出身の先輩である野瀬さんを紹介して頂き、(初心者の私と)2人で通訳ガイドを勤めることになりました。正式に決まったのは1月中旬。さあ、それから初ガイドまでの3ヶ月が大変でした。まずしなければならなかったことはフルタイムで働いている職場からガイドツァー期間にお休みを頂くこと。なんとか上司の許可を得たあとは、休日はすべて京都への下見旅行と外人ツァーに乗り込んでの実地検分、そして英語のbrush
up、さらには京都で案内する場所の由来や歴史を調べ、英語で楽しく紹介するための原稿を作成することに費やし、かつ日中の仕事が終わった後は頻繁に旅行社に立ち寄って打ち合わせ。毎日笑ってしまうほど忙しかったのです。でも自分で考えた文章をnativeの方にproof
readingして頂いたり、客の一人としてバスツァーに乗り込み外人観光客の人たちにガイドさんの評価を聞いたり、またツァーの企画段階から旅行社の方と一緒に話し合いプラン作り参加できたことはとても勉強になり、実際のツァー本番で生かすことができました。充実の3ヶ月でした。
その二 通訳ガイド本番(通訳ガイドとしての初仕事)
では次にいよいよ実際のツァーの日程と体験をお話します。スケジュールは下記の通りでした。
1日目 東京見物。(ガイドは野瀬さん、私はヘルプとして同行)
2日目 東京でのレセプションパーティのお手伝い。(このパーティと初日の東京観光のお陰でツァーのお客様のお名前とお仕事が把握でき親しくなることができました)
3日目 京都へ出発。ホテルから東京駅までのバスの道中が私の初ガイドの仕事でした。京都についてからは百貨店のワイン売場の見学から始まり、仁和寺での生け花のデモンストレーション等、金閣寺と清水寺での夜桜見物など。
4日目は京都御所と天龍寺、畳に座っての懐石料理。三十三間堂。夜は東山の料亭で芸者さんたちの芸を堪能。
5日目は京都御所と平安神宮を見物。会席料理の昼食後新幹線で帰京。
期間中、東京も京都もまさに桜が満開!お天気も上々で最高でした。清水寺への夜桜を見に行くバスの中では、ほろ酔い加減のお客様の勧められるまま、サクラ♪や(滝廉太郎の)花♪をまさにバスガイドのように熱唱(好評でしたわ!)。平安神宮では谷崎潤一郎の「細雪」の英訳から平安神宮のお花見の場面を紹介したら、お客様の中に谷崎愛好家の方がいらしてとても喜ばれました。またお釈迦様の誕生日である花祭りとも重なって、「なぜ中国と日本で花祭りの日が違うのか」質問形式を取り入れてご紹介したのも、評判がよかったです。(答えは
lunar calendar とsolar calendarの違い)
その三 まとめ(通訳ガイドは楽しい経験!出会いと「ご縁」が大切です)
「通訳ガイドは楽しい経験!」これが初ガイド仕事を終えた新米ガイドの私の感想です。そして、いかにお客様に楽しんでいただき、想い出の一日をプレゼントできるか、に心を配ることが、通訳ガイドの勤めであると実感致しました。「一期一会」は座右の銘です。京都のガイドをきっかけにその後もいくつかお話を頂くことができました。思えば初仕事が体験できたのも、富士通訳ガイドアカデミーの人脈ネットワークのお陰です。「縁」に生かされて素晴らしい通訳ガイドとしての初体験ができました。これからも「人との出会い」を大切に、毎日の仕事に励んでいきたいと思います。
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