私は、58才ですので、若く華やかな受験生の群れのなかでは最高齢に近い年齢ではないでしょうか。年齢・性別等不問の条件を活用して、この一年適度な緊張と張りのある、新たな発見に満ちた大変楽しい生活を味わうことができました。富士アカデミーのお陰と感謝しています。
英語遍歴
ドメスティックなメーカーの、これまたドメスティックな部門にずーっと勤務していました。10年ほど前に、会社が本格的な海外進出をはかりだしましたが、その時に海外プラント建設契約締結業務を担当したことが、英語との本格的なつきあいのはじめでした。
受験の動機
業務の必要に迫られ、自己流で英語の勉強をはじめた結果、どうやら英語で業務がこなせるようになりました。会社の英語教室にも必要に迫られ顔をだした結果、TOEICも最高915まで行き、多少自信もつきました。一方定年も近づき、なにかしなければと漠然と感じていたところ、会社の通信講座の案内でこの資格を知りました。第2の人生への「武器」のひとつになる、と早速その通信講座を申し込みました。会社の補助と中高年職業研修助成があったことも魅力でした。 その講座が終了した半年後、ノコノコと受験しました。試験がこんなに大変なことも、富士通訳ガイドアカデミーのような専門の予備校があり、大勢の方が準備していることなど全く知りませんでした。それでも1次は合格していましたが、2次で当然ながら落ちました。一敗地にまみれた翌年は多忙に取り紛れ挑戦を中断しましたが、定年がすぐそこに迫ってきた昨年は、本気になって合格しようと考えました。中高年にとっての鬼門は2次ですが、成功したのは富士アカデミーでの組織的な勉強のお陰と、それに火事場の馬鹿力でしょう。
前回の1次合格はまぐれと思われましたので、今度はちゃんと準備しようと思いました。とはいえ会社も忙しいですからあまり自由時間もなく、結局週一回の通学コースのある富士アカデミーを選び、一昨年の11月に入学しました。用事のある時は土曜日を含むほかの曜日のクラスにも振替出席ができ、またどうしても駄目なときは詳しいテキストをいただけるという、受講生本位のフレキシブルな運営のお陰で、実質的にはほぼ皆勤という、私にとってはかつてなかった学業ぶりでした。知念先生は、訳された日本文は正確で美しいものでなければならないと説かれました。とにかく分かればいいだろう(実際はそもそも分かっていないことが多いのに)的に訳してしまう私どもは、先生の丁寧で神経の行き届いた訳出の作業にはいつも感嘆していました。さらに、時事問題を中心とした和文英訳も大変有益でした。自分のつたない英語をネィティブの講師に丁寧に添削してもらうだけでなく、模範解答も2〜3例出していただくという、誠に親切な対応のお陰で、随分力がついた感じがします。
というわけで、1次対策は専ら富士通訳ガイドアカデミー一本で、あとは通勤電車のなかで、録り溜めした「やさしいビジネス英語」を聞く程度でした。富士通訳ガイドアカデミーを知ったのも、「やさしいビジネス英語」の広告でした。それから、「ニューズウィーク」を定期購読しました。配達されるところがミソです。溜まると週末に、なんとか特集記事くらいは棄てる前に読むものです。
中高年の男性にとって最大の難関はこの2次と聞いていましたので、富士通訳ガイドアカデミーで1次の試験前から始まった2次対策には、早速参加しました。私たちは当たり前の事柄も一旦外国語で問われると、その解答の難しさというものは大変なものでした。前回ここで落ちたのも当然でした。徒手空拳で臨み、解答にもならぬことを、ガイドという視点の欠落したまま述べていたのですから。
ご指導いただいたジェームス先生からは、特に日本的事象に対しての西洋的な価値観からの根本的な質問を多くいただきました。勿論うまくは答えられませんでしたが、質問そのものに教えられました。
経済から文化から時事トピックにわたる広範囲な質問に悪戦苦闘した結果、重要問題について自分なりの意見を纏めておくことの必要性を痛感しました。そのため、時事問題のなかから重要と思われるテーマを絞り、日本の英字新聞を丁寧に読んで、金額・数量等の具体的な数字を覚え込んだうえで、自分の主張や意見を作っておきました。じっさいの試験で大きな3つのトピックのうち最初の一題は準備していたものにモロに当り、胸のうちでニヤッと笑ったことでした。
3次対策セミナーは、過去の問題の復習ですが、解説がそのまま準備になるように工夫されており、臨場感がありました。いただいた資料がよく整理されていて、その暗記だけで相当の準備ができました。さらに弱点の日本史に対しては、息子の高校の教科書を何回か繰り返し読みました。試験では幸運にもヤマをかけていた大陸を舞台にした列国の角隊がバッチリ出てきました。ここの満点が誤答をかさねた一般常識の失点を補ってくれて、なんとかパスさせてくれたものと胸をなで下ろしています。
7.終りに 定年後は、この資格を活かすガイド関連の仕事を是非したいと思っていますが、実際可能なのか不安なところがあります。知念先生からは、祝賀会からベテランガイドの体験談の催しなど次々フォローの通知が入ります。合格後の進路までお導きいただけるとは嬉しい限りです。できる限り、参加させていただき、勉強していきたいと思っています。
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