1999年の春、私は会社を清算中でした。数十年携わった商売に終止符を打ち、次なる人生をどう生きていこうか、迷いに迷っていて、何かしたい、でも何がしたいかわからない、そんな模索の時期に富士アカデミーの広告と出会い、「通訳ガイド試験」というものがあることを知ったのです。「目標を持って何かを一生懸命勉強し、挑戦することで新しい道が見えてくるかもしれない」。そう思いました。
富士アカデミーを迷わず選んだのも運命的なものを感じます。説明会を聞きに行ってup-to-dateな時事英語を学べることに感動し、「英語を勉強するならこういう英語を学びたいなあ」とすぐに入学を決意しました。
しかし正直なところ、初めはガイド試験の合格は第一目標ではありませんでした。神経が休まらず、あまり生産的とは言えない清算業務の中での「息抜き」として富士アカデミーの授業に時々出席していたようなもので、試験に合格するよりも、久しぶりに「英語の勉強」なるものをしている自分に満足し、何より当面の商売最優先。1999年夏の試験も受験しましたが、当日の午前中は在庫品の販売の仕事をしてから吉祥寺の会場に向かい、試験の後も商品の片付けに浅草橋へ戻るという有り様でした。
しかしその後半年も経つに連れて、仕事の合間に一生懸命取り組んでいる多くの学友の方たちを知ることで、私にも「合格したい」という意欲がふつふつと湧いてきました。2000年の春に生まれて初めての手術と入院生活を経験し、その年の夏の試験は朝から気分を整えて挑戦したにもかかわらずあえなく敗退。でも仕事との両立をはかりながら合格している富士アカデミーの仲間を見ていると「私にだって出来るわ」、と決してあきらめようとは思いませんでした。会社の清算が終わった今年の春からは、別のフルタイムの仕事を始めましたが、「2001年にはきっと合格する」と信じて富士アカデミーには休まず通いました。これは以前の私からは想像もつかないことで、この根気とねばりは「富士アカデミー効果」であることは間違いありません。
なぜ私が2001年の通訳ガイド試験に合格できたか。
通訳ガイド試験合格の祝電を富士アカデミーより戴いた時にしみじみ思いました。「こんな私がよく合格できたなあ」と。模擬試験ではいつも良い成績で張り出されていたのに不合格になった方もいらっしゃいます。2次試験に数回挑戦していらっしゃる方は何人も知っています。そんな優秀な方々をさしおいて合格電報を手に出来た私は、本当に運が良かったと思うのですが、結論を言うと、富士アカデミーで勉強していなかったら通訳ガイドの合格は全くありえなかったということです。
それでは、1次試験から3次試験まで、富士アカデミーに通いながら私が勉強したことをご参考までに紹介しましょう。
1次試験に関しては、富士アカデミーでの毎週2回の授業と予習(復習はあまりしませんでした)が私の総ての試験対策でした。最新の英語の雑誌や新聞等の記事を和訳する授業は、英語の勉強のみならず、英米的な発想法を学ぶ上でもとても勉強になりました。なによりもあの時期の私は、友人の間でもいっぱしの「世界情勢に対して意見のある人間」でしたが、なんのことはない、それはいつも富士の授業でいろいろな見方を学んでいたからなのです。
英語に対する「好き」の度合いは各人で違うと思います。合格者の方々とお話してびっくりするのは、英語が大好きな方がいかに多いか。正直なところ英語そのものへの関心度が少々低い私が過去に試験に落ちたのは当たり前だなあと感じるほどです。けれども暗示をかけて「時事英語」を好きになり、「英語を通して世界情勢と世の中の動きを知ること」に勉強の重点を置くというのも、私のように英語嫌いの方が(まあこの試験を受ける方の中には少ないでしょうが)通訳ガイド試験を勉強するにあたっての1つの方策だと思います。
富士アカデミーになにより一番感謝したいのは2次試験対策です。
なんとなく今年は合格できそうな感じがしていたのに、8月24日の発表までは、富士アカデミーの2次対策に通うことさえサボっていた私にとって、9月16日の試験までの3週間余りが勝負でした。英語を話すことはかなり出来るつもりだったのに、受験仲間皆さんの素晴らしいEnglish
ability for speakingに自信がワナワナと崩れていって…。「ああもっと、話すことを熱心に勉強しておけばよかった…」と後悔の毎日。ところが「天は我に味方した!」。8月27日から9月15日までの3週間、富士アカデミーは素晴らしいプログラムを用意して下さったのです。優れたネイティブの講師の方たち、優秀な受験仲間の方々、時事問題の熱い議論、今思い出してもすごく凝縮された時間でした。あの3週間ほど密度が高く、英会話力を高めることが出来た体験はめったにあるものではありません。私の「英語による面接に対応するための会話力」は確実にアップしました。ちょうど9月11日が期間中に含まれていたため、アフガニスタンやパキスタン等の政治情勢を英語で講師の先生や受験仲間の方々から(TV・新聞等の日本のマスコミよりも一早く)教えて戴いたのも今では良い思い出となっております。
しかしながら、私が2次試験に合格できたのは、運が良かったからです。面接で得意の経済問題を訊かれ、日本経済の今後の見通しを自分の会社清算の体験とともに語れたのは、とても満足のいくことでした。1年前には東京国際フォーラムで在庫品の処分販売をしていた私が、2001年9月には同じ会場で国家試験の面接を受け、英語で日本経済の将来を語るなんてカッコイイと我ながら思い、気分は最高!の状態でした。
2次試験に関しては、普段から英会話能力を高めておくことがなにより大事です。1次試験対策と同時に始めることを強くお薦めします。そして本番に強い「自信」と「明るさ」もぜひ日々の生活の中で養っておいてください。私の商売の経験は、2次試験の面接の中で「度胸」として生かすことが出来たと思います。
実は3次試験対策ほど楽しい勉強は我が人生において他にありませんでした。 好きな科目は?と人に訊かれると、いつも「社会科」と答えていた私。通訳ガイド試験が終わった今、英語の丸暗記はすべて忘れたのに、「国立公園」や「国定公園」、あるいは「室町時代の商品流通の仕組み」や「江戸時代の学問の変遷」が今でも語れるのは、「好きこそものの上手なれ」ということでしょうか。
そんな私が一番勉強したのは、歴史では高校時代の日本史の教科書(山川出版)と地図帳&地理統計(帝国書院)です。その地を旅し、その時代に生きているような気持ちになって勉強しました。社会科好きの私がお薦めする方法は、じっくり暗記するよりも、何回も繰り返し本や地図を広げることで全体像を自然に頭に入れていくことです。中央公論社の「日本の歴史」シリーズが愛読書の1つで、よく寝る前に読んでいたのですが、この読書の蓄積が3次試験のお蔭で一気に報われたような気がしました。そしてもうひとつ3次試験対策を挙げるとするなら、幅広い日本の事象に関する「興味」とこれまでの人生経験でしょうか。今思うと、映画やTVの「時代劇」鑑賞や、過去の日本各地への旅行も立派な3次試験対策でした。
この通訳ガイド試験を振り返って、人生において、目標を立てて成し遂げていくことはいいことだなあと今しみじみ思います。達成感と自信が得られます。大人になってからは、毎日の生活に追われて日々流されることの連続でしたが、人生の折り返し点を迎えて、この試験の合格をきっかけにまた新しいことに挑戦する意欲が湧いてきました。そして受験対策のために一生懸命頑張った月日は私の大切な財産となりました。
最後になりましたが、私が富士アカデミーをお薦めする理由を列挙して、この一文を閉じたいと存じます。
- 先生がいい
知念先生のきめこまやかな指導は特筆もの。なにより授業がわかりやすいのがとても良いです。
そして2次対策のネイティブスピーカーの先生方もとても優秀な方ばかりでした。
- タイムリーな教材がいい
授業で使用するプリントはup-to-dateなので、内容が興味深く、英語を勉強するだけでなく、世界の動きも一緒に学ぶことが出来ます。
- 東京のまん真ん中にある教室の立地がいい
学校に通うには、通いやすさはとても大事なことだと思います。富士アカデミーは東京のまん真ん中にあり、通訳ガイド試験専門学校の中では「東京駅」に一番近い学校です。そしてJR四谷駅のみならず、営団地下鉄麹町駅に近く、半蔵門駅、市ヶ谷駅も歩いて行けない距離ではありません。
- 優秀な生徒が集まっているのがいい
あるネイティブスピーカーの講師の先生が2次試験対策最後の授業でおっしゃっていました。「こんなに英語の出来る人が集まっているクラスは初めてだった」と。私もクラスメートの皆さんから英語のみならず様々の点でたくさんの刺激を戴きました。
- 家庭的な雰囲気がいい
知念先生の人柄からか、学校のムードはとても家庭的。和気藹々の感じでいつも授業を受けることが出来ました。ここで知り合って友人になって、結婚式に呼ばれたり食事に出かけたり、また定期的にメールを交換している友達がたくさん出来ました。
|