私と英語の付き合いは、学生時代からその後の外資系会社勤務を通じ、かれこれウン十年と期間だけは長いのですが、海外経験も外人と英語をしゃべる機会もあまりなく、なかなか苦手意識の抜けない心もとないものでした。そんな私が受験を思い立ったのは、退職後これまで避けてきた「英語を何とかものにしたい」と痛感したこと、また通訳ガイドは語学だけでなく歴史や文化、地理など日本人としての幅広い知識を問われるということにチャレンジ精神が湧いたのがきっかけでした。
初めて富士で体験授業を受けたとき、その授業内容の密度の濃さに大変驚きました。最初の単語チェックでは、ほとんど見たことのないような単語をみんなスラスラ答えているのにまずショックを受けました。次に精読用英文の多彩な内容と知念先生の丁寧で的確な解説に感心し、一息つく間もなく始まった小テストのレベルの高さに唖然として、果たしてついていかれるかしらと、かなり不安に思ったのを今でもはっきり覚えています。
その後知念先生や富士の仲間からいろいろアドバイスをいただき、まず一番に取り組むべきことは単語力をつけることだと確信し、実践したのが富士の単語熟語集と時事単語集です。簡単なようでこれが一番苦労しました。何しろ1ページの中に知っている単語が2-3語しかなかったので、小さい単語帳を作り電車の中で次の授業まで必死で覚えました。また、11月生の範囲と4月生の範囲を同時進行でやり1次試験までに何とか1冊終わらせようと思い、毎月の単語コンテストでは11月生分と裏側の4月生分の両方をやり、だんだんと両方80点以上とれるようになりました。これはかなり自信になったと思います(本当はご褒美にもらえる文房具がうれしかった)。
英文読解は精読用英文と毎回の小テストの英文が大変有効でした。タイムやエコノミストなど様々なジャンルから最新の記事が出題されており十分読み応えがありました。専用のノートに訳を書き、授業の解説で直していく、の繰り返しです。
また小テストの英作文は、丁寧に添削して下さるので、自分で使えそうな構文や単語を拾って覚えるようにしました。自分で書く英語の癖や誤りというのは自分ではなかなか気づかないものです。模試でも本番の試験でも英作文で得点の差がかなり出ますので、これは結構効果がありました。
私の場合、富士の教材が中心というかほとんどで、せいぜいインターネットで朝日新聞の英語版の社説をたまにプリントアウトして読むくらいでした。ここで結構時事ニュースに出てくる単語を拾って単語帳に加えていきました。たくさん買った本もほとんど"積ん読"に終わり、英字新聞やタイムなどの雑誌の講読も、山と溜まってストレスの元になるのがわかっていましたのでやりませんでした。もちろん余裕のある方はやるに越したことはありません。
純国内産で「英語を話す」のが苦手でしたので、最初から二次対策の授業を週1回とっていましたが、初めはペイン先生の質問が聞き取れず、皆の前に出て話すmock
examが恐怖でした。それよりもまず、二次対策テキストで聞かれる内容、日本のことについて何も知らない、考えたこともない、意見もない、ましてやそれを英語で答える、ということが全くできませんでした。実は二次対策テキストは最初ノートを作って自分で答えを書いていたのですがどうも苦手で早々にあきらめてしまいました。ですから1次に受かったときはかなりあせり、発表後の二次対策セミナーは、定期券を買って可能な限り毎日のように出席しました。おかげで相手の質問に集中する、聞かれたらすぐに話し始める、シンプルな英語で簡潔に話す、という基本的訓練を集中的に積むことが出来ました。
また、二次試験の直前にノートを作り、日本伝統事象(芸能、食べ物、スポーツ、宗教など)60-70個ほどと時事トピックス20個ほど(イラク、自衛隊、銀行、拉致、少子高齢化など)を4-5行にまとめ、自分の言葉で話せるように、"Smile!
Be assertive! Be dynamic!"という先生のアドバイスを思い出しながら鏡の前で練習しました。また、日本事情の本に付いていたCDをテープに録音し、学校の行き帰りの電車の中でウオークマンでぶつぶつシャドウイングしながら聞いていました。自分で言うのもなんですが、この1ヶ月間の集中特訓で私の「話す英語」がほんの一時的にですが飛躍的に伸びたような気がします(その分その後の落ち込みも速かったですが)。
歴史地理は比較的好きな科目でしたので、富士の三次セミナーで過去問をやった後、歴史は山川出版の教科書「詳説日本史」を買って全体の流れをつかみ、文化史、外交史、政治史など細部のポイントを暗記していきました。地理は子供の白地図をコピーして公園、山、川、観光名所などを書き込んで覚えました。一般教養は日頃から新聞をよく読み社会情勢にアンテナを張ること位でしょうか。実際の3次試験は、教科書の欄外に載っているような細かい事柄を問われたりして過去になく難しかったと思います。
1次と2次はできれば同時進行で対策を立てるのが効果的だと思います。通訳ガイド試験は1次から3次まで非常に幅広い知識を問われます。日常生活を通して日頃からいろいろなことにアンテナをはって自分なりの考えをもち、それを英語で表現するよう意識的に心がける、そして広く浅く全体的なレベルを上げる努力が必須であることを痛感しました。アドバイスとしては、日本の伝統的事象くらいは早めに自分でノートにまとめておくといった準備が必要だと思います。1次発表後の1ヶ月間で伝統的事象、時事問題、日本人気質の3分野すべてをやるのは厳しいです。
まず、教材の内容が濃くかつコンパクトに出来ていることです。単語、読解、和訳、英作文、リスニングと2時間の授業の中でこれらがバランスよく短期間でスキルアップできるようプログラムされており、富士の教材さえしっかりやってついていけば必ずや合格レベルまでの上達が可能だと思います。
それと、富士アカデミーのアットホームな雰囲気です。クラスが学生時代のように和気あいあいとして、苦手の克服法について情報交換したり、落ち込んだときに励ましてもらったりと1年間どれだけ力づけられたかわかりません。
そして最後に、知念先生や外国人講師の方の丁寧で熱意あふれる授業、スタッフの方々の親身であたたかな心配りに心から感謝したいと思います。
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