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1999年11月開講受講生
2003年度通訳ガイド試験当校合格者
若松 君江さん
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大学卒業後、千葉県3年間、東京都27年間、公立中学校の英語教員として勤務してきました。英語が特別好きだというわけではなく、他の教科よりたまたま点が取りやすかったので、英語科に進んだというのが本当のところです。退職前の10年間ほどALTとの授業を行うために外国人講師との打ち合わせ、準備をしなければなりませんでした。このとき自分の英語力のなさを認めざるを得ない場面に何度も遭遇し、何とかせねばと思い、研修会に参加したり研究会に出席するのですが、何か違う、と思うことが多かった。授業をするのは楽しく、準備したワークシートを進めていく英語教育の創造的なおもしろさもようやく分かりかけてきたのですが、このままずっと様々な問題を抱える中学校の教育現場に身を置くことが、果たして自分の本当の望みだったのだろうかと、自問自答する日々でもありました。大学時代あまり熱心に勉強をしなかった私の英語力は、恥ずかしいほどのもので、就職してからは、通勤電車の中や休日に読むジャパンタイムズ紙が、かろうじて私の支えでした。
就職後3年目に受けた通訳ガイド一次試験に合格はしたものの、氏名、住所以外、一言も発することができませんでした。その屈辱感はずっと消えることがなく、『いつか必ず』と言う思いだけが残りました。結婚後、育児、仕事に忙殺され、無力感に苛まされることもあった中で、富士アカデミーとの出会いは,一筋の光明をもたらしてくれました。1999年12月13日にはじめて,手続きに訪れたとき、『必ず合格しよう』と思いましたが、最初の1年間、土曜の午後5:15までの授業は、勉強しているという自己満足のみで、居眠りすることすらあり、2000年に受けた試験は、こんなに難しい試験に合格することなど私には無理だと思いました。しかし成績が少しずつ上向くにつれ、『仕事が厳しいから勉強できないは、言い訳にならない』に変わり、『これからの時間は,自分自身のために』に変わりました。2001年3月ぎりぎりになって退職を決め、本当にこれでよかったのか心が乱れました。しかし辞めても辞めなくとも、後悔は残ったのではないかと思います。辞めたからには絶対受かりたい、何年かかっても受からなくては辞めた意味がない。背水の陣をとることが必要だというつもりはありません。ある種の強い意志といいますか、動機が必要なのかもしれません。若さあふれる方々にとってはそれ自身が動機になるのではないかとも思います。また、生まれながらに語学の才に恵まれたり、海外生活や留学の経験があったりして、富士アカデミーに通い効率よく学習を進め、合格できる人もいるでしょう。残念ながら私にはあふれるような若さも、特別の語学の才も、そうした経験もありませんでした。今さらなぜ、という問いに対する答えなども私にはありません。なんとしても合格したかった、それだけが全てです。
2001、2002年の試験はともに自爆、2003年の試験直前、知念先生の助言に従い、病院の精神科で精神安定剤を処方してもらい、やっと4時間ほどの睡眠をとることができ、受験しました。試験会場では多くの人が平常心を保つことが難しい状態になると思います。頼れるのは自分が今までやってきたことのみですから、ここまでやったのだから後は野となれ山となれの心境になることが必要なのかもしれませんが、なかなかなれないのが普通だと思います。よほどの自信があれば別ですが。
私がこうして合格することができたのは、ひたすら諦めなかったからです。いささか教訓めいていますが事実だと思います。一人でこつこつ学習をすることができる人も、一杯いると思いますが、私のように周囲の人達の支えなしにはやれない人も多いのではないかと思います。知念先生、ペイン先生、ダフィ先生はじめ富士のスタッフの皆さん、その他たくさんの方々のお力をいただきました。最終合格の報を受け取ることができ、この上ない喜びです。ありがとうございました。
授業を一方通行に終わらせないために予習は欠かせません。日本語に直す時間がなくとも、読んで行くだけはしたほうがよいでしょう。自分の解釈の是非もないまま出席するのは,あまりに勿体無い。後は復習するのみ。模擬試験や精読用英文も納得のいくまで繰り返し読み返す。小テストの英文は比較的読み易いですから、飽きてきたときや、何をやったらいいのか迷うとき、これに戻りました。使われている単語はもちろんのこと熟語、構文、言い回しなどをノートに書き、時にカードを作り、覚える。ひたすらこの繰り返しでした。単語テストも侮れません。これなしには英文は読めないからです。毎回もらえる消しゴムやマーカーペンが励みになったこともあります。小テストの英作文の添削は他の追随を許さない。繰り返し見直すことが2次試験対策にもなる。月1回の模擬試験は、本番の試験よりはるかに難しいものが多く、得点が伸びないときは落胆しこれからどうしようと、悲壮な気分になったこともありますが、こうしたことを繰り返しながら少しずつ力がついてくるのかもしれません。
退職後、時間にゆとりができ午前中2、3時間かけて英字新聞を読むことを自分に課しました。時事単語集,単熟語集で覚えた言葉や表現に出会うと、覚えておいてよかったと思いました。紙面で新しく見つけた時事単語をメモしたり、気になった記事を切り抜いたりして、2次対策の授業に活かしました。最初の頃、読みこなせなかった英文が読めるようになる快感は、他では味わえないと思います。
また、試験2週間ほど前、受講生同士が手持ちの時事単語を共有するため、提出しあいました。あの中から出題された語は少なかったとは思いますが、富士アカデミーだからこそできたのではないかと、思っています。
外国で学んだことや、海外旅行らしき経験すらない私にとって、当初、授業での質問は苦痛以外の何ものでもなく、聞き取れない、分からない、答えられない状態がしばらく続きました。劣等感の塊で教室の隅でひっそり座っているつもりの私に外人講師は非情にも、質問を浴びせる。めげることもしばしばでしたが、2次試験にまるで自信のなかった私は、2次対策授業を受け続けました。
テキストが配布されて、何回読んでも私にはこんなふうに答えられないと思い,気が遠くなる心境でした。授業のテープを無料で貸し出してくれるので、聞き取れなかった英語の確認を家でする事ができ、他の受講者の英語や意見を参考にすることもでき、ありがたかったです。またペア・ワークはアウト・プットの練習という意味があるだけでなく、受講者同士を知るよいチャンスだと思います。同じ志を持つものとして励ましあう友人がいるというのは、大切なことだと思うからです。授業の度に受講者が模擬面接で講師から受けるアドバイスは厳しくもありながら、的確で、なるほどと感心させられることばかりでした。
1次発表後の2次対策セミナーは必死でした。2次試験に落ちたら、「ただの人」に戻りますと脅され、課題の2,300の問答集も毎晩2時位までかかって書きました。もっと早く取り組むべきだったと思いました。どこかで見たことがあるという記憶があれば何とか、話せるものだということだと思います。参考図書としては、講談社インターナショナルのバイリンガルブックスシリーズがお薦めです。NHKのラジオ第2放送午後2時と夜11時からの英語ニュースをシャドウイング、その他英語講座、TV、BBCなどいろいろ。
2次対策レポートは、会場の雰囲気を知る上でとても役立ちました。先輩のレポートに記されていた例の戸田奈津子氏に似た面接官にあたったとき、『あ、この人だ』と一瞬思いました。
例によって前の晩眠れなかった私(朦朧としていました)にはあがるゆとりもなく、あっという間に面接は終わってしまいました。20年以上前のあの悪夢のような体験に終わらなかったのは、まあよしとして、合格はとても無理と思って居ましたので、合格の報を受けたときは、天にも昇る心境でした。
地理、歴史、政治経済、一般常識を問う3次試験は一般常識のない私はどう対処すればよいのか、これまた悩みの種でしたが、最初の概略説明で何を勉強すべきなのか分かりました。2次発表後に始めたのではとても間に合わないだろうと思い、不合格に違いないと思いながらも仕様が無く『日本通訳協会』発行の『観光日本地理』を読みながら白地図に国立公園、国定公園、山、川、観光名所、その他を書き入れるところから始めました。3次対策テキストに書かれている重要な都市,日本三大○○も書き入れました。
歴史は山川出版高校用教科書「詳説日本史」をノートにまとめましたが、かかった時間の多さにもかかわらず頭に残らず、しかも昭和時代については中学、高校の授業ではなぜか省かれることが多く、難渋しました。仕方なく図書館から小学生向け「漫画で読む日本史」や、その他歴史ものを借りて読みやっと得心する、という過程を経て過去問にあたりました。「こんなことまで知らないよ」と思うような問題も多く、山中先生がおっしゃるように「難しい問題は皆さん同じように解けません」といって打ち捨てたら、どれひとつ答えられないので、これは腹を括って覚えるしかないと覚悟を決めました。過去問は何度も見直すうちに覚えます。一般常識問題はニュ-スに関心を払っていれば何とかなるはずです。3次対策の授業テープや地図など最後までお見捨てなく、送付していただき感謝しています。
私のような人が合格することができたのですから、「必ず受かる」という意志をもって諦めずに継続すれば必ず報われるということだと思います。がんばっていればそのうち自分の順番が回ってきます。試験当日までの精神的、身体的健康管理は、特に大切。全力を発揮するために、周到な準備と注意が必要です。
どの教材も飽きることが無かった。毎回読む小テストや精読用英文、模擬テストの英文全て知的好奇心を刺激し、満足させるに余りあるものでした。しかも専門の英語教授法に基づき、授業が行われていると思います。豊かな経験と人間性に裏打ちされた解説、アドバイス、冗談、どれをとっても知念先生なればこそといえます。2次対策、3次対策の先生方も授業準備怠り無く、インテリジェンスを感じました。採算を度外視した学生支援など、「塾」だからこそできる当意即妙の対応にしばしば出会いました。単熟語集、時事単語集、2、3次対策テキスト、いずれもガイド試験に照準を合わせてはいるものの、英語の総合的な力、実践力を身につけるための効果的な教材であると思います。授業と教材を計画的にこなしていけば、道は開けてくると思います。
年齢に関係なく、学ぼうとする人が肩を並べ、励ましあいながら切磋琢磨する、そうした環境の中で過ごすことができた日々や出会い、英語力(といえるものが私にあるのかどうかは別にして)は私にとってかけがえの無い財産です。
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