通訳ガイド試験は語学試験の中で唯一の国家試験です。
なぜ数ある語学試験の中でこの試験だけが国家試験なのでしょうか。その答えが分かれば通訳ガイドの重要性と責任が理解できると思います。通訳ガイドは外国人観光客を観光案内しながら、日本文化や日本の政治、経済、社会を紹介します。通訳ガイドを通して外国人観光客は日本を知ることも多いのです。外国のビジネスマンであれば、何人もの日本人と接してある程度日本に関して知識があると思います。しかし、観光客の場合は、極端な例では、旅行中のガイドが初めての日本人である場合が多々あります。そのような観光客は、よい意味でも悪い意味でも、ガイドを通して日本を理解するようになるのです。これが俗にガイドは民間外交官とも言われる所以なのです。大げさに言えば、ガイドによって観光客の日本の印象が決まってくるのです。立派なガイドであれば大きな国益になりますが、そうでなければ国益を失ってしまうかもしれないのです。国益がかかっているから1次・2次・3次と試験を行い、単に会話力のみならず1次で英語と日本語の表現力を試し、2次で日本社会を口頭で説明する会話能力と日本を代表するに足る人物かどうか判断する人物考査、3次では地理、歴史、一般常識問題が課されているのです。この試験は語学を駆使して日本を語るにふさわしい人物かどうか試している試験なのです。このような点から、なぜガイド試験が国家試験なのかが分かります。国家試験である以上、この試験は様々な知識を受験生に要求します。このためガイド試験では幅広い知識が問われているのです。
ガイド試験の傾向として1次では大まかに言って英文理解と日本語表現力、英作文力及び時事的語彙力が問われ、2次では政治から文化に至る日本事象に関して説明を求められ、3次では地理で主に日本の観光知識、歴史では日本の古代から現代に至るまでの幅広い知識、一般常識では政治・経済・産業・及び大衆文化に関する知識が問われています。このような点からガイド試験はなんと出題範囲の広い試験なのだろうと思われるかもしれません。しかし、傾向に沿って学習を継続することによって合格できる水準まで学力を伸ばすことができます。確かにガイド試験は難しい国家試験の一つですが、傾向に沿って必死になって準備されれば合格できる試験です。現在のガイド試験では英語の4技能、つまり「読み・書き・聴き・話す」の運用能力の有無を試しています。実用的な英語能力試験と言っても過言ではありません。現在の日本で「実用英語」を身につけることは日本社会の要請でもあり、急務であると考えられていますので、ガイド資格の重要性はますます高まって行くと思われます。このような点からガイド試験の勉強は趣味と実益を兼ね、また社会の要請にも一致していることで一石二鳥とも言えそうです。
ガイド試験の準備をすることによって英語の運用能力が身につき、さらに本格的に通訳・翻訳をする基本を身につけることにも大いに役立ちます。ですから、まず、ガイド試験の準備で英語の総合力を養い、次のステップとして通訳ガイド、通訳者、翻訳者への道へ進まれることをお勧めします。
通訳ガイドは将来の観光立国日本を担う重要な役割を果たす職業人だと思います。日本政府が外国人誘致政策を実施しても観光客を直接案内する通訳ガイドが職務の重要性を認識していなければうまくいきません。観光は世界貿易のレベルで非常に重要な産業でもあります。外国人をたくさん日本に誘致し、日本文化の理解を深めて、ひいては日本の世界における文化的地位向上にもつながるのです。通訳ガイドの活躍する国際観光は、経済的にも文化的にも大きな役割を担っていることがわかります。
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