通訳ガイド当校合格者秋山 ますみさん
2006年4月開講受講生
2007年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

――― 原点回帰 ――― 合格通知を手にして、しみじみ思いました。社会人デビューが接客業だったのです。高校時代、音大を受験しようと考えていた私は、学業に専念したことがなく、ふとしたきっかけで進路変更した際、不得意でなかったのが英語、ということで、大学の英文学科に進みました。学部生も卒業論文を英語で提出することが必須だったため、1年次から論文作成に備えたエッセイの授業がありました。理論的に文章を書く経験のなかった私は、英語そのものよりも、まず理論的に物事を考え、順序だてて組み立てていく、その方法を体得するのに、苦労した記憶があります。大学3年の秋のある日、エッセイの授業の時間に教授の口から出た言葉が、ある意味、自分の人生の転機になりました。「あなたたちの大半は、英語を使わずに生きていくことになるんでしょうから、今が一番英語の能力があると思って、しっかり勉強しなさい」と。何度も卒業生を見送った教授の、あきらめとも、現実に即したアドバイスともいえるこの一言に対し、「そんな生き方、さびしいな。」とその瞬間思ったものです。そして、卒業後の進路として、英語でコミュニケーションを図る仕事、人とかかわる仕事であるホテル業を選んだのでした。ホテルのレセプションを経て、興味の対象は英語からお酒へと移り、ワインに魅かれて同じ職場内のレストラン勤務へ。ワイン熱は冷めることなく、今度はホテル業よりも、ワインそのものへと興味の対象が移り、やるならフランス語から、と渡仏してしまったので、以後10年近く、フランス語の方に重点をおいた仕事生活を送ってきました。英語との再開は2001年の春。ミレニアムの騒ぎが治まる頃、なぜかワインに対する熱も冷め、人生を見つめなおすことに。相手の顔色を見ずにできること、自分のペースでコツコツできること、得意分野、と胸を張れるほどの実力はないが、語学を生かせること、と、この三点に絞ってたどりついたのが英文和訳でした(仏文よりも紹介案件が多かった、というだけの理由)。人間相手の仕事ではないので、気苦労がない、と勇んで始めたものの、すぐに疑問が生じました。内容が実務翻訳だったためもあり、「私でなくても、誰でもできる、翻訳ソフトがあれば、ロボットにもできる。。。私でなければ出来ない仕事って何だろう? 私? あ、接客業かぁ。。。」この発見は驚きでした。接客業にイヤ気がさしたと思っていたのです。そして改めて仕事について考えたところ、語学、接客、年齢で門前払いを受けないこと、という条件を満たした「通訳ガイド」という職種があったのです。ホテルに就職する時にあこがれていた「コンシェルジュ」という職種のいわば全国版。正確さを求められる会議通訳ではなく、人間性を求められるアテンドのプロ。ようやく方向性が定まり、2002年春に富士に入学。その年の試験は、自分の実力とあまりにも試験がかけはなれているので受験せず。その後、結婚、家の建築、引越し等々でしばらく英語から離れた生活を送っていたのですが、2006年の春に勉強を再開、昨年度2科目、今年度2科目でかろうじて1次を合格し、思いがけず、このたび合格通知書を手にする運びとなりました。

1.1次試験英語対策

短熟語集、時事単語集:宿題、小テストをペースメーカーにして、パーフェクトでないにしても、必ず取り組むようにしました。時事単語集は、A5版のルーズリーフの表側に英語、裏側に日本語を書き写し、表側の右1/3を谷折にすると日本語訳が見えるようにして、テストの範囲だけを毎回持ち歩き、通勤電車の中で覚えるようにしました。単語は、日本語→英語よりも、英語→日本語の方が覚えにくいので、単語5つくらいを1ブロックとして、英語を見て日本語が口からスラスラ出てくるまで、繰り返し暗記に努めました。精読用英文:授業の前にPCを利用して予習しました。まず配布されたプリントにざっと目を通し、知らない単語の意味等を直接書き込みました。次にワンパラグラフ分の英文をスペースに少し余裕を持ってワードに入力し、英文が終了したところで日本語訳を入力。そのようにして作成した原稿をプリントアウトし、授業の時には、先生の解説をこちらの原稿に書き込むようにしました。配布されたプリントは書き込みのない状態で残るので、後日復習する際に、自分が理解できていない部分を発見するのに役に立ちました。小テスト:試験終了後に解説が配布されるとすぐに、意味のわからなかった単語等をルーズリーフに書き出して意味を確認、帰りの電車の中でそのルーズリーフをもう一度見直したのち、本文と日本語訳とをじっくりと読み比べるようにしました。模擬試験、単語コンテスト:限られた時間の中で、うまく時間配分をしながら解答を作成する訓練ができる機会だと思います。試験のあとの課題の利用方法は小テストと同様です。単語コンテストは、強制的に復習をさせてもらえる絶好の機会、と考えてできるだけ参加するようにしました。学校で使用する課題は、どれも英文として優れたものでしたので、授業で一度読んだだけで終わりにせず、また、予習にかけた時間、授業に出席している時間を無駄にしないためにも、必ず復習するよう心がけました。2007年に受験するにあたり、この時点ではもう富士には通っていなかったので、いくつか対策を考えました。時事単語を自分で攻略するため、神社・仏閣や、古民家、伝統芸術品などを扱った、外国人向けの日本の写真集を見ながら、これは、と思う単語をリストアップしていきました。これは大変に時間のかかる地味な作業でしたが、試験本番では、わが目を疑うほど知っている単語が出題され、胸の高鳴りを抑えるのに苦労しました。英文和訳はあまり不安がなかったのですが、和文英訳に自信がなかったため、過去の試験問題、小テスト、模擬テストの復習のほか、英字新聞のうち、できるだけ易しい英語の記事を読み、現在話題となっている事象がどのように英語で表現されているか、常に気に留めるようにしていました。易しい記事を選んだのは、自分が試験の時に書ける英文のレベルを想定したもので、結果的にこの勉強法は自分に合っていた気がします。また、試験前は読解の題材として、固い論説文ではなく、外国人が書いた日本についてのエッセイなどを読むようにしていました。自分が外国人になったつもりで読んでみると、新鮮な気持ちで楽しんで読めました。

2.1次試験社会科対策

中断していた勉強を再開し、2006年春に試験要綱を見るまで、社会科が1次に含まれるようになったことを知らなかったので、英語と平行して社会科を勉強しなければいけない、と思ってもいませんでした。私は高校で世界史を選択し、日本史は中学までしか勉強していなかったので、その年の合格はどう頑張ってもムリだと思い、夏期セミナーに参加し、科目合格を目指すことに決めました。地理:山中先生の熱のこもった素晴らしい授業をペースメーカーとさせてもらいました。白地図は、テキストの情報を表にして書き込んだり、色鉛筆で地域ごとに色分けしたりと、視覚に訴えるようにして使用しました。テキストの過去問題を何度かやっているうちに地名等は頭に残るようになりました。国土地理院(?)の地図帳を持っている方が多かったですが、私は昭文社の「なるほど地図帳 日本」を自宅で使用し、テキスト等で出てきた地名はすべてこの地図帳にマーキングしていきました。地図の他、雑学も多く掲載されており、重いので持ち運びには不便ですが、自宅学習用にお勧めです。また、JRで作成している旅行のパンフレットは、写真や地図が豊富なうえ、その土地の紹介も掲載されている、というガイド試験にはうってつけの無料の教材でした。先の地図帳ともに総復習にたいへん役立ちました。一般常識:実は翌年に合格すれば良い、と思っていたので、セミナーに出席しただけで勉強はしなかったのですが、運よくその年に合格しました。敢えて言うなら、私は「活字中毒」的なところがあり、新聞はもちろんのこと、雑誌でもパンフレットでも、手当たりしだいに読まないと落ち着かない方なので、日常目にしていたことが、そのまま蓄積されていた、ということでしょうか。世の中に対して常に好奇心を持っていることが、試験対策につながると思います。日本史:とにかく苦手意識が強かったので、覚悟して2006年の試験終了と同時に勉強を始めました。セミナーで教材として配布された山川の教科書を読むことから始めましたが、知らない固有名詞ばかりで、この先だいじょうぶなのか、と不安になりました。一度通読したあと、「覚えなければ話にならない」と思い、一問一答集(山川)を使用し、各章毎に繰り返し問題を解いて暗記につとめました。ある程度の知識が定着したのち、再び教科書に戻り通読、その後、政治史、経済史、美術史、といったようにテーマ毎に読んでいきました。試験3ヶ月前くらいからは、神社の建築様式、日本の祭り、戦乱に関係する天皇、源平の系図、歴史上の外国人など、断片的な知識をテーマ毎にカードにまとめていきました。教科書にある時代毎の文学史、仏教関係の表なども、若干手を加えて同じくカードにまとめたので、A4ノート縦1/3の大きさのカードの総数は100枚くらいになります。美術史に関しては、教科書に出てくる写真以外に、図書館で国宝を特集したDVDを借り、主要な作品のチェックをしました。簡単な美術鑑賞(?)が自宅でできるのはもちろんのこと、詳しい解説つきなので、気分転換を兼ねて利用しました。美術展にも良く足を運びました。足利尊氏の直筆サインがある書状を見たあとは、教科書の室町時代がよく頭に入るようになりました。現物を目にすることで史実に興味がグンと増しました。江戸後期から幕末にかけて、教科書を何度読んでもあやふやだったので、歴史小説を何冊が読んでみました。2次試験の時に「江戸幕府最後の将軍は?」と質問された時には、司馬遼太郎さんの「最後の将軍 徳川慶喜」を読んでおいて良かった、と心から思いました。蛇足になりますが、山川の「用語集」と同じくらい、電子辞書の広辞苑は役に立ちました。常に持ち歩いているので、疑問が生じた時にすぐ解決でき、本当に便利でした。日本人として日本史の高等知識がないことに劣等感を感じていながら勉強をすることなく今まで過ごしてきてしまったので、今回の試験は、自国の歴史を勉強する良い機会となりました。

3.2次試験対策

1次試験でかすかな手ごたえがあったので、10月からの2次対策クラスに早速申し込みをしました。私は英語圏での生活の経験がなく、会話に自信がないので、2次試験に合わせて半年間英会話学校にも通いましたが、結論から言うと、必要なのは、卓越した会話能力よりも、むしろ日本のことをどれだけわかっているか、ということに尽きると思います。社会の仕組みや、伝統文化等は整理しやすい項目ですが、「なぜ日本人は?」というタイプの質問は一朝一夕に答えられるようになる項目ではない、と思っていたので、1次の勉強の合間に、日本人と神道、仏教などの関係をテーマにした本を何冊が読み、大筋をつかんでおきました。クラスで発言の機会があろうとなかろうと、質問されたら何かしら答えられるよう、テキストの宿題の範囲は必ず目を通し、要点だけでも押さえるよう時間を割きました。まとまった時間はとれないので、一回につき一つの項目、と決めてキーワード、キーセンテンスを覚えるようにしました。たまにテキストの内容に「そうかなぁ。。。」と納得できない内容がありましたが、納得できないことに関して、キーワードだけ覚えても自分の言葉で話すのは難しいな、と思ったので、そういう場合は、自分なりの解答パターンを作りました。逆に、茶道や和服などについては、自分が趣味で長く続けているために思い入れが強すぎ、簡潔な説明にするのが難しかったため、できるだけテキストの解答例を参考にしました。時事問題は、英字新聞を丁寧に読んでいる時間がなかったため、政治、経済関係は本当に主要なものだけをネット検索して、単語や言い回しのチェックだけしました。また、日経新聞の英語版(週刊)に、トレンドを追う特集が毎回あるのですが、幸い職場に半年分のストックがあったため、お昼休みを利用して3か月分くらい、ざっと目を通しました。「口答試験なので、声に出す練習を」とアドバイスをいただいていましたが、これも時間をとることができないので、通勤や通学途中の人のいないところを見計らって、ある項目について小さい声でブツブツ。また、家では夕食の仕度をする間、アルクの「日本を語る」やジャパンタイムズの「英語で話す 日本事情」などのCDを流し、シャドーイングすることによって口を慣らすようにしました。先輩の2次レポートについては、読んでいる途中で、みなさんしっかりと対応されていて、自分はとてもこんなに答えられない。。。と不安になったので、英語の内容はざっと目を通すだけにしました。ただし、せめて人物考査だけでも合格点を。。。と思っていたので、挨拶の仕方や場の作り方などは参考にさせていただきました。

4.これから受験される方へのアドバイス

富士に通った1年間と2度の試験で、実質3年の試験勉強でしたが、ガイド試験対策として常に留意していたことは次の3点です。一つ目は英語力。「読み」は比較的簡単でも「書き」は文法、語彙力がモノを言います、基礎力を蓄えた上で試験に特化した勉強をすると効率よく学習が進められると思います。運よく合格証書はいただきましたが、これを契機として、英語学習にさらに精進していこうと思います。二つ目は日本についての理解。あって無駄になるものは何ひとつありません。宗教・倫理から地元の情報まで、あらゆることに興味を持たれると良いと思います。三つ目はコミュニケーション能力。たとえ相手の発言が明らかに間違いだとしても、いきなり「No」ではなくて、「Yes, but…」と対応できる能力が、特に2次試験では求められていると思います。そのためには、日頃から相手の話に耳を傾ける姿勢、というのを意識して生活していくことが必要かと思います。

5.富士のよかったところ

なんといっても、知念先生をはじめとした、アットホームな雰囲気でしょう。2次セミナーの手続きで事務所にお伺いした際、知念先生の懐かしいお姿を拝見したので「卒業生なんですが。。。」と声をかけさせてもらいました。すると「ええ、覚えてますよ、もうそんなにたちますか。。。そうでしたか。。。」とすぐにお言葉をいただき、先生の中にサービス業の真髄を見たような気がしました。3年も前の平凡な通学生を本当に覚えていてくださったら、とても嬉しいことですし、もしも営業トークだとしても、すぐにそのような言葉をかけられる、ということは、それはそれで素晴らしいことだと思いました。どこの学校にしても、授業に参加すれば必ず合格する、というものではなく、いかに自分の勉強のスタイルを継続するか、ということが合格のポイントになるかと思います。手作りテキスト、折に触れての知念先生のあたたかいアドバイス、感じの良いスタッフの方々、と自宅学習のモチベーションをあげる為に、富士のスタイルは最適だと思います。