通訳ガイド当校合格者河崎 佳子さん
2006年4月開講受講生
2007年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

今まで先輩方の体験談を読ませていただき、参考にさせていただきました。教室でお会いしていた方が、こんなに勉強されていたのかと改めて尊敬したり、こんな怠け者の私が合格できるのだろうか、と暗い気持ちになったりしました。私の体験談は、どうぞリラックスして、勉強の合間にお茶を飲みながら、読んでいただければと思います。
私にとっての英語とは、中学から大学までの学校の必修科目のひとつでした。ところがアメリカで暮らすことになり、2005年日本に帰国するまでの18年間、英語は、生きるための、そしてコミュニケーションの大事な道具となりました。アメリカ人の人なつっこさ、常に前向きな姿勢やユーモアとともに、英語の表現の仕方、英語の考え方に魅力を覚え、英語を聞き話すことはとても心地よい時間となりました(もちろん、困ったことも、泣きたくなったこともありますが)。
私がアメリカについて好きなことのひとつは、自分のできることで社会にお返しをする、ということが広く行われていることです。私も、2006年夏に行われるバスケット世界選手権に英語ボランティアとして参加することにしました。その頃、通訳案内士という資格について知りました。とても難しい試験ということで、自分には縁のないことと思っていましたが、あることがきっかけで一念発起、富士通訳アカデミーに入学したのは2006年4月のことでした。
私が富士通訳アカデミーを選んだのは、精読英文と小テスト(ネイティブチェック付きの英作文を含む)で毎回完結する授業、豊富な授業振替制度(テープの貸し出しも含む)、そして知念先生のわかりやすい説明(18年の間に日本語が錆び付いており、日本語のリスニングも支障をきたしていたので)です。振替制度のおかげで1年間のうち、休んだのは旅行のために2回のみです。

1.1次試験英語対策

週に2回の授業の予習で明け方までかかることもしばしば、でも、予習して和訳を書いて授業に臨まないと授業に出ても面白くありません。毎回、精読英文と小テストでどんな記事を読むのだろうかと、とても楽しみでした。
私は実は丸暗記が苦手で、単語テストは毎回クラスの最下位だったのではないかと思います(もちろん単語帳をつくって覚えるなどの努力はしましたが、長期の記憶として定着することはありませんでした)。新しい語彙は精読英文、小テストから学ぶことにしました。文脈の中で意味を取る方が記憶に残るので。小テストの英作文は毎回四苦八苦しましたが、3つの訳例は大変参考になりましたし、ネイティブの先生の赤ペンチェックの入った答案の返却が待ち遠しかったです。
やっと予習にも慣れてきたかと思う頃に1次試験の申し込みです(実は、入学時にいつ試験があるのかも知らず、その頃になって11月生の方が試験に合わせて勉強ができることを知りました)。
2006年の試験は練習のつもりで申し込み、試験1週間前は毎日さいたまアリーナに通い、世界バスケのボランティアでNHK、各国の放送局の方々のお手伝いをしていました。試験の当日は決勝の日。迷ったのですが、試験会場へ。そんな状態だったので、気負いもなく、リラックスして受験したのがよかったのか、11月の発表で、英語、地理、一般常識は合格。これは5カ月間、富士に通って勉強した成果で、特にその他の勉強はしていません(時間的にも他のことをする余裕がありませんでした)。毎回小テストを受けることで、時間配分や、英作文力、知らない単語があっても内容を想像しながら訳出するといった力がついたのではないかと思います。知念先生の英語の授業は合格後も出席し(最終的に合格証を手にするまでは、再度英語を受験することも想定内だったので)、模試も毎回受けましたが(友人たちと模試の順位を競い合い、図書カードをいただけるのが楽しみで)、自分でも力がついていることが実感できました。

2.1次試験社会科対策

2006年は、英語の予習に追われ社会科目の勉強の時間がとれず、富士の授業と山中先生の直前セミナーを受け試験に臨んだ結果、地理、一般常識は合格しました。ただ、日本史だけは、高校で日本史をほとんど勉強していなかった上に(当時も履修問題がありました)、山川(日本史Bの教科書)との相性が悪く、読めなかったので仕方ありません。歴史検定2級にも挑戦しましたが、問題の量が多く、問題を全部読むことすらできなかったので諦めました。
日本史は苦手意識もあり、なかなか勉強が進まず、本格的に日本史を勉強したのは英語のクラスが終わった2007年4月以降。小学生のドリル、中学生の教科書と問題集で基礎固め。わかりやすい口語体で書かれた日本史の本を3種類読み、日本史のCDを電車の中で聞き、「まんが日本の歴史」を図書館で借りて読む(まんがと言っても、語彙は難しく、内容は大変詳しく、全55巻で、残念ながら途中で時間切れとなりました)そして鎌倉・京都・奈良に行って実地勉強。これでなんとか苦手意識から脱却、歴史に興味をもち勉強することができました。しかし、試験では、かなりのプレッシャーで(これを落としたら、来年は全教科受け直しなので)、簡単なミスだけでポロポロと10点も落としてしまいましたので、ギリギリの合格だと思います。
実は、DSに山川のソフトがあると知って、「溺れる者はDSも掴んで」しまいました。が、これはかなり内容が詳しく、問題が難しくて使えませんでした。教科書読み上げ機能を使ってみてわかったのですが、私は読めていなかった(読めないと思ったのは正しかった)のです。山川の教科書が苦手の方はぜひ、本屋さんで立ち読みをしてご自分に合った本を探してみてください(私は日本語は縦書きの方が読みやすいです)。最近、通訳案内士の試験のせいか、日本史の本をたくさん店頭で見ます。

3.2次試験対策

私は、2次対策のクラスを2006年4月から2007年夏まで受け、直前セミナーでセミプライベートを中心に2週間受けました。私は、日本に不在だった時期の日本の事柄に関して全く実感がありません。そのため、バブル経済崩壊から2004年までの時事問題のディスカッションになると、落ち込むばかりでクラスに出ても一番後ろで一言も発する事なく帰った日もたびたび。辛い日々でしたが、グラスバーガー先生の優しい語り口の英語、ユーモアになぐさめられました。新聞の社説を読み、ディスカッションをする授業のおかげで徐々に日本の問題を理解し、私の中の空白を埋めていきました。ブラウン先生、グリフィス先生には、内容はもちろん、質問の答え方、アイコンタクトやスマイルの仕方(実際にやって見せてくださいました)、回答に要する90秒の長さを自分の感覚で身につける方法など具体的に教えていただきました。ブラウン先生のクラスでは、生徒がふたりだけの時もあり、ていねいな指導をしていただき感謝しています。私は、丸暗記が苦手の上、嘘は言えない性格、また過去18年の空白を埋めるためには、自分の足で歩き、目で見ることで自分の中にインプットしていきました。文楽、能、狂言の鑑賞。美術館、博物館、東京の名所はほとんど、箱根にも行きました。東京タワーは外階段で登りましたし、隅田川水上バスにも乗りました(特に桜の季節はおすすめです)。日本史の勉強も兼ね、京都・奈良に行ったことで、日本の原点を体感しました。富士のウォーキングツアーにも参加しましたし、友人たちと、はとバス観光、鎌倉に行ったことは楽しい思い出です。ひとりでは見過ごすことも友人が注意を促してくれますし、いろいろ話すことによって記憶に残ることも多くなります。リスニングに関してはできるだけ多くの英語を聞く事に加え(テレビ、ラジオの活用も含め)、いろいろな人の英語を聞く事も重要です(私の場合、米語、特にアメリカ南部訛には強いですが、イギリス、オーストラリアの英語には弱い)。また、面接であがりそうな心配がある方は、機会があれば面接を受けることもおすすめします。とっさの質問に対応する力がつきます。私の場合は、帰国後の2005年より英検準1級の面接、観光英検1級の面接(ネイティブの試験官より世界遺産を含む観光地に関する質問があります)また、世界バスケの通訳ボランティアの英語面接も受けましたので、それらによって鍛えられたような気がします。

4.これから受験される方へのアドバイス

通訳案内士の試験は、1年に1回だけ。1次試験科目は英語に加え、社会科3科目、2次試験英語面接と多岐にわたり、特に総合力が面接で試されます。私のように、範囲も広くてどのように取り組んだらいいのか途方に暮れるような方には、学校に通う事をお勧めします。学校では、同じ目標をもつ仲間と励まし合い、情報を交換し、何倍の効果も望めます。生徒の方はそれぞれいろいろなバックグラウンドがあり、得意分野があるのでお互いに学ぶことも多くあります。
また、自分に合った勉強方法、勉強科目の時間配分などが短期合格につながると思います。決して諦めないこと、準備不足と思っても試験を受けてみることが合格への道につながります(富士の授業を受け、予習復習をするだけで、実力がついています)。 2次試験対策では、はとバスなどの英語のツアーに参加することによって実際にどういう勉強が必要なのかを知る事ができます。私たちは半日コースに乗車しましたが、2次対策テキスト1冊以上の内容でした。私たちは素晴らしいガイドの方に恵まれ、勉強の指針となりました。
1次の発表があってから2次までの2週間は精神的にも肉体的にもかなりきつい日々でした。私の場合はその2週間の間にまだインプットが必要だったので、時間との闘いとなりました。蓄えた知識が十分あるという自信が、試験当日「どんなことでもきいてください。お答えしましょう」という余裕につながります。本番の面接では、気になる試験の合否のことは忘れ、「美しい国、日本」を外国の方に紹介する喜びをもってお話しましょう。ブラウン先生のお言葉 ”Smile! Japan is a beautiful country. Japan has beautiful four seasons, wonderful cultures and custom. You should be very proud of.”

5.富士のよかったところ

富士は通訳案内士試験合格のための予備校と言うよりも、通訳ガイドを育てる学校(実力をつける学校)です。試験合格のための知識以外に、ウォーキングツアーなどでガイドの実際の知識を学ぶこともできます。 教材(テキスト、精読英文、小テスト、模擬試験)や授業をご自分の目で確かめてみてください。そしてぜひ、先生方とお話してみてください。
スタッフの皆様は、いつも笑顔で暖かく接してくださり、迅速に対応してくださいます。

山中先生と岩渕先生はクラス以外でも快く質問に応じてくださり、勉強法についてのお話(山中先生に日本史と英語の勉強法を伺いました)、英作文の添削(岩渕先生は2次試験2日前に、私がヤマをかけた明治維新の英作文を赤ペンチェックしてくださいました)など、ご自分の貴重な時間を割いてくださいました。知念先生にはいつも暖かく励ましていただきました。とても暖かい雰囲気の学校です。
クラスの皆さんは、勉強熱心で明るい方ばかりで学校に通うのがとても楽しみでした。このトシになって友だちができるとは、と感心するほど、良い友に出会いました。これからも良いおつきあいが続いていきそうです。 試験に合格できたのは皆様のおかげです。本当にありがとうございました。