通訳ガイド当校合格者山田かおりさん
2014年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

大学時代独学でスペイン語を学び、スピーチコンテストに出場して、スペイン大使館賞を受賞、一年間スペインのサラマンカ大学の外国人学部で学ぶ機会を得、帰国後は日本を外国人に向けて発信することに興味を持ちました。そのため、簡単な気持ちで添乗員となり、はじめの3年は日本全国を巡りました。国内日帰り、修学旅行などで経験をつみ、やがてはカラオケツアー、ダンスツアー、宴会ツアーの専任となり、何か違う方向へ進んでいるなと思い始めたとき、添乗派遣の会社を変え、海外添乗メインの会社へ移りました。日本人の最大40名までのグループを一人でまとめ、日本より旅行日数も長い海外添乗は奥が深く、ちょっとしたらすぐやめようと思ってはじめたものの、気が付けば添乗員になって約12年が経過していました。 現在までは約60ヶ国を巡りましたが、特にここ10年で日本人が年間30万人以上訪れるようになった旧ユーゴスラビア地方(クロアチア、スロベニア他6ヶ国)には50回以上添乗し、日本人ガイドのいない地方のため、各地で英語ガイドの通訳が必要となったため、そこで私の英語遍歴がはじまりました。内戦中に多くの国に避難していたり、戦後翻訳が追い付かずに各国の言語でそのまま映画の流れる特にクロアチアでは英語をはじめ、数か国語を美しく操る人々が多く、また観光産業が主幹産業となり、言語が話せなければ仕事を得られぬ彼らの学習姿勢にも刺激を受けました。彼らはとってもおしゃべり好きで、長い話を通訳するには同時通訳しないと日本人のお客さんは英語でガイドが話している間イライラしてしまいます。又、私も彼らのように自分の国に誇りを持ち、上手な外国語でそれを案内したいと思うようになったとき、近所に発見したのが「富士通訳アカデミー」の看板でした。又、クレーマーのお客の対応などで少し添乗に疲れてきた頃だったため、仕事を1年間半分の量にし、政府の補助金を使い富士で学ぶことは自分の充電期間でもありました。その1年はとても有意義なものとなり、試験合格までには3年かかりましたが、英語に自信がつき、添乗も以前より楽しくなり、また3年目にスペイン語とダブルで合格できたことは人生初の何か最後までやり遂げたこと。これからの人生がちょっとまた楽しみになったのは富士に通ったおかげです。

1.1次試験英語対策

まず、知念先生のおすすめどおり単語カードを作成。また量が多いので紙がもったいないので、A4のコピー用紙を自分でカット、穴をパンチであけ、100円ショップのリングでとめ、全部お手製を使用。
うしろには意味だけでなく、例文を調べて書きました。辞書にない例文はインターネットでの検索が役立ちました。全部できあがるには半年以上費やしましたが、急がば回れで、ハード面とソフト面両方を作成したことで飽きずにできたと思います。単語コンテストではあまり良い点をとれずがっくりしたものですが、復習に力をいれ、また図書館で英字新聞を読み、単熟語集に出てきた単語をピックアップしてみたり、習うより慣れよの精神で英語に接するように心がけました。スペイン語のローマ字読みに慣れていたため英語のスペルがメチャクチャで、毎回の授業で提出する英文がまるで幼稚園生の文を添削いただくような程真っ赤になって戻って来ることにはまた、学習意欲がわきました。なるべく書くことを心がけ、こまめに簡単な単語も電子辞書でチェック。思えば、このような大変地味な作業のつみかさねこそ自分の英語学習にとって必要なものでした。 そのうち、はじめは全然まちがえた訳をしていたのが、だんだんとそれなりに意味の通じる訳をするようになる自分に気付きました。試験の通訳も習うより慣れよの精神で、毎回授業に臨む、出席できなかったときも必ずインターネットでひととおり目を通すことを目標にしました。
日本事象の単語はスペルを間違えないように書けるまで1年かかりました。スペイン語受験の際はそれを全部スペイン語に訳して使用しましたのが大変役に立ちました。

2.1次試験社会科対策

社会科については無知識の状態からのスタートで途方に暮れました。地理は、白地図の番号の名称を言いあてられるよう、図書館で詳しい地図と照らし合わせながらを繰り返しました。歴史は山川の日本の教科書を読む助けとして図書館のマンガを読みあさるとともに、山川の資料集を購入し、何度も作品と作者を照らし合わせました。その他、高校受験の「超速」シリーズをアマゾンで購入。何度も読みました。アイフォンのアプリでも無料の歴史クイズで流れをつかみました。正直、私には山川の教科書は資料の絵や写真以外使用しませんでした。(教科書が苦手な方は参考にしてください)
一般常識は、新聞ダイジェスト、池上彰の年間のニュースのまとめ(図書館にあった)、公務員の一般常識の問題集を各1冊ずつ読みました。2回受験しましたが、試験の前年のものを読み、2回合格しました。新聞は海外にいることが多く毎日読めなかったので私にはこの方法が良かったようです。
はじめの年は社会科に全力を投入し、3教科受かりましたが、英語を落としました。しかしながら、無知識からのスタートで、本当によき勉強となりました。できる限り図書館の小学生のコーナーより、地理・歴史・社会科(一般常識のため)関連のものをさがし読みあさりました。もしかすると充分な教材がそろっているかもしれません。社会科に自信のない方には図書館の小学生コーナーから始めることを強くおすすめします。

3.2次試験対策

2次試験を2回(2年続けて)受験しました。1年目は富士アカデミーの2次対策に参加し、たぶん余裕と思って安心していたら、いざ試験となると緊張してしまい、長い沈黙を作ってしまいました。2年目は、試験の前の1ヶ月間、ひたすら約30題目にしぼって山をはり2分の文章を完全に暗記しました。アイフォンの録音アプリを無料でダウンロードし、完全に暗記しているか、発音はどうか、2分以内に言えるかどうかを録音してチェックしました。アパートの隣人の人々には大変不可解な念仏か何かに聞こえていたことでしょうが...。結果、試験では山がはずれ、暗記していなかった「黒船」の題目を選んでしまいましたが、暗記していた「徳川慶喜」の話に話題をシフトできたため、沈黙は作りませんでした。「暗記」は良い勉強法ではないかもしれませんが、結果、通訳にも暗記していた内容が出てきましたので、2次試験に自信のない方には1つの方法かもしれません。しかし、後の自分の英語が少しおかしくなった気がします。試験対策だけにとどめておいた方が良いと思います。

4.これから受験される方へのアドバイス

エジソンは99%の努力と1%の才能と言ったかもしれませんがガイド試験は100%の努力で誰でも受かることができる資格だと思います。合格までに丸3年もかかり、2回の不合格の通知を見たときは才能がないんだと落ち込みましたが、後不足していた努力をつけ足しやっと合格できました。合格したものの、この試験のおかげで自分にはまだ何が足りないかが明確になったと思います。ガイドになってからもっと努力の日々が続くと思いますが、試験はその前の大切な準備期間。楽しみながら、ステップアップしていきましょう!

5.富士のよかったところ

勉強するかしないかは自分次第となりますが、応援してくれる人がいるといことは、その上で本当に助けになります。知念先生や岩渕先生は、私にとって錦織圭選手のコーチ、マイケル・チャンのような存在でした。お値段も良心的で、学生の多い四谷でやる気が出ます。富士の教材を全部こなせば、ガイド試験に必ず合格できます!