通訳ガイド当校合格者荒井信一さん
2016年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

1月17日に通訳ガイド試験合格をwebで確認することができました。2月4日に合格証書を手にすることができました。予備知識、自覚の乏しい約10カ月前から、何とかこの段階まで辿りついた過程を振り返ってみたいと思います。50代前半で30年近く勤めた職場を退職し、しばらく社会保険労務士の勉強をして資格だけ取得し、50代半ばから、ある企業で、顧問として、新人若手研修・教育を担当し、所属チームの和文英訳を含む提案書やプレゼン作成のアシストをしておりました。もう1~2年顧問として勤めて、いずれ60歳くらいで国家資格である通訳案内士試験を受けてみようと思っておりましたが、2016年6月末に顧問契約の更新を行わない可能性が3月下旬にわかりました。
英検は、若い時に取得していたので、英語一次は、英検やTOEIC免除が使えたので、社会科を中心に勉強できると思い、軽く考え、試しに社会科過去問に挑戦しました。しかし出来が悪く(特に2015年度の地理、一般常識は難しいと富士通訳ガイドアカデミーの説明会で知ったのですが、歴史も何十年振りの問題だったので、燦々たる結果でした) 一次試験まで4ヵ月くらいと残された時間も少なく、このまま一人でやっていたら難しい、学校に通い効率よく勉強しようと思いました。学校選びですが、web検索するといくつか学校を検索でき、多くの学校が既にコース説明会を終了していました。
富士通訳ガイドアカデミーの最終説明会に間に合い、授業料が他の学校より低く設定されているのも魅力で、4月の半ばから2次試験対策短期集中コース(通学)と社会科短期集中コース(通信)を受けておりました。8月の1次試験(社会科)に向けて、時間を惜しんで勉強しました。英語は、最初の職場であり30年近く勤めた職場で頻繁に使用していたこともあり、英語もそこそこ喋れたので、2次試験対策短期集中コースの参加も毎週最低限の準備をする等、当初甘く考えておりました。社会科が通れば、全て終わりのような気持ちでした。8月の1次試験(社会科)が終了し、点数も全て基準点を超えていたので、英語2次試験対策となるわけですが、初めて2015年の過去問題にくまなく目を通し、出来ないテーマがたくさんあったので慌てました。 これからは、勉強の体験記ですが、支離滅裂なところがあったらすみません。今後の受験や来年度にちょっとでもお役に立てたら嬉しいです。

1.1次試験英語対策

英検とTOEIC両者で免除。

2.1次試験社会科対策

通信で社会科短期集中コースを受講しました。通学だとその場で質問できたり、オフレコの話もあると思うのですが、2次試験対策短期集中コースと合わせると週2回通学するのも大変と思い、通信では都合のよい時に30分や1時間半と、ばらして学習できるし繰り返し学習できるので、強力な強みであると思います。一度の授業では頭に定着しないので、通信DVDは3回見ました。DVDを授業の進行に合わせて1回、7月の模擬試験に合わせてもう1回、一次試験の2週間前にもう1回と学習しました。合計3度、学習しました。授業は、エッセンスだけを話しているので、自分の勉強が進んでくると、特に3度目は、DVDがすんなり頭に入りました。 2015年の問題が難しいので、2015年合格者からも出来なくても気にしないようにと言われていましたが、特に地理と一般常識が難しかったです。 富士通訳ガイドアカデミーから各科目毎に一問一答形式の問題集が配布されるので、何度も繰り返し、出来なかった問題や理解があいまいな問題は、5回以上マーカーや色鉛筆で色を変えて、×や△をつけました。大変なようだが、出来ない問題は減ってくるので、4回目、5回目には、時間もあまり取ることなく出来ました。 歴史と一般常識では問題数が多かったのでコピーを取り、通勤時に持ち歩き、昼休みや通勤で席が確保できた時に何度か解いてみました。
<日本地理>
授業の地図帳、国立公園(特にこの5年以内に認められたもの)や世界遺産で近年登録されたもので、授業で覚えるようにと言われたものは覚えました。例えば、中尊寺、毛越寺、無量光院跡、観自在王院跡および金鶏山の五カ所が平泉の世界文化遺産だが、全く違う遺跡を入れて、平泉の遺産群は何かという問題は作り易いので、教材のコピーを取り、電車の中や昼休みに繰り返し覚えました。
観光地のクイズと豆知識の資料も配布されたので、コピーを取り、持ち歩き、下線が引かれたところを中心に、地名から観光地、寺や神社の名前や温泉名が出てくるように勉強しました。A4 1~2枚を持ち歩き、昼休みに目を通したりしました。
クラブツーリズムや朝日旅行からツアーのパンフレットがよく送られてきたので、豆知識の確認として利用しました。特に2016年度の問題は、豆知識が良く問われたので、効果的でした。語研の通訳案内士試験「地理・歴史・一般常識」直前対策に、例題的に、日本の地域別に過去問を記載してあり、世界遺産、ジオパークのクイズもあったので、何度か試してみました。
<日本歴史>
富士通訳ガイドアカデミーの説明会で女性の合格者から、「歴史は、素直な問題が出るので、やればやるほど得点できる」という話と「仏像や絵やお寺の写真が出るので、写真をよく勉強した」と聞いたので、よしと思ったが、一回の講義で山川の教科書が100ページ近く進むので、覚える量に驚きました。そもそも歴史の流れを掴んでないので丸暗記になり苦痛でした。
知念先生や岩渕先生は、覚えなければいけないところ、カバーすべきところをカバーして下さるわけだが、万が一、私と同じように山川の教科書を読むのが苦痛な方には、自己流で考えた方法を紹介してみたい。参考になるかもしれません。
東進ハイスクールの名物講師金谷俊一郎氏がテレビで面白おかしく解説しているのを思い出し、本屋で金谷 俊一郎 「日本史の『なぜ』と『流れ』の早わかり講義」(東進ブックス) 原始古代史、中世近世史、近現代史の全3巻(非常に薄い本で、歴史上人物の漫画とわかり易く書いてある)を購入し、それぞれ約70分程度の金谷氏のCD講義付きなので、ウォークマンにダウンロードして、通勤時に席を確保したら、本を開いて、CD講義を聞きました。行き帰りで、丁度一冊分カバーできるので、毎日何度も聞きました。覚えるのを諦めていた有名な天皇の名前や、藤原一族や北条一族も、流れがわかると覚えやすかったです。
私は、昔から、丸暗記が苦手で、納得しないと覚えない性格です。金谷氏のCDは、文化史は省かれているので、YouTubeで家庭教師のトライが、高校の日本歴史をわかり易く解説しているのを見つけ、特に文化史のところを視聴しました。各文化10分にPart4~5くらいで、一回の視聴が書物、宗教、建物、絵画等に分かれており、理解が進みました。一つの時代を2日くらいかけて視聴しましたが、確認テストもあり、YouTubeで解説してくれるので、大変重宝しました。
納得したら、富士通訳ガイドアカデミーで配布された一問一答を出来るまでくり返し、写真資料はコピーを取り、粘着テープで名称を隠し、繰り返し昼休み等で覚えました。
<一般常識>
授業のプリント教材と1問1答問題集をひたすらやりました。
TPPも1問1答問題集にあり、自分でマークしていたら出たし、岩渕先生が「選挙制度は久しぶりの大改革なので、出ると思います」とおっしゃっていたので、衆議院や参議院の定数や選挙制度、昔の普通選挙制度改革をいろいろとマークしていたら出ました。ビザ緩和も2015年の3カ国を覚えておくといいと言われて、模試でも、香港への輸出の問題がそのまま出たので、これだけで多分15~20点上乗せ出来ました。一般常識は69点くらい取れましたが、この的中がなかったら50点くらいなので1次発表までもっと不安な日を送っていたか、どうなっていたかわかりませんでした。
<模擬試験>
1次試験の約40~50日前に、自宅で受験。会場試験の環境を作るため、図書館で時間を計り、3科目受験し、終了したら、直ぐに回答をポストに入れました。一般常識は、授業の残りが2回あった状態で受験しました。
試験後の自己採点としばらくして送られてくる成績表は一致しており、地理と歴史は勉強も進んでいたのでA判定だが、一般常識はC判定 なので、残りの20数日は一般常識を6割、歴史2割、地理2割で勉強しました。模試の解説DVDは3回視聴しました。
地理と歴史では、自身の勉強方法は間違っていないと思えました。
プリントで配布された最新統計数字のカードを作り、1問1答をひたすら覚えました。

3.2次試験対策

2次試験対策短期集中コースは、4月から受講しましたが、社会科一次試験までは、積極的というよりは受身で参加していました。たまたま参加した月曜日のタントラム先生のクラスは、4月~7月は、受講生が3名でしたので、プレゼンテーションも1人3回は回るため、事前に配布される5つのテーマで2分しゃべれる程度の準備はしました。通訳文は、前もって問題が配布されるので、事前に訳してみました。タントラム先生は、「2次試験では何が出るのかわからないので、通訳は予習しない方がいい」と言っていましたので、9月以降はそうしました。『絵とき見てわかる日本 伝統文化編、生活社会編』(JTB Publishing)をはじめとするいくつかの本を紹介されたので、一番薄い『絵とき見てわかる日本』を購入し9月以降、授業に合わせて読みました。 9月以降は毎週配布される通訳文は、何のテーマか問題をちらっと見て、訳さずに臨みました。例えば、「彼岸」が出ていれば、その箇所を読み、春分、秋分という知らない単語を覚え、プレゼンテーションで、「温泉」や「銭湯」が出ていれば、その箇所を読んで、頭に入れて参加しました。通訳文も、内容が分かれば、訳抜けはありますが、なんとか対応できるので、この時期にinputする事は大事だと思います。input作業は、この時は勉強に専念出来たので、一次試験結果発表までひたすら続けました。
プレゼンテーションの勉強は、授業教材の復習の他に、何か不得手なテーマでもイントロで30秒何か話し、1分30秒持つようにと思い、富士通訳ガイドアカデミーと並行して『日本のことを1分間英語で話してみる』Kadokawa 広瀬直子(CD吹き込み付、80テーマカバーしている)を利用しました。特に富士通訳ガイドアカデミーでカバーしなかったテーマもたくさん出ており、学習しました。例えば、ICカード、コンビニ、携帯、芸者、落語、AKB48、クラブ活動、オタクなど。
通訳は、訳抜けが最後まで付きまとったが、『通訳案内士試験 英語一次二次直前対策、植田一三編著』語研はMP3CD付きなので、40題入っており、メモを取り練習しました。吹き込みつきプレゼンも定番テーマばかりですが、授業でカバーしない屋久島や奈良の世界遺産の寺、テーマを選んで、勉強しました。プレゼンテーションのテーマについて、本番形式の質疑応答が付いているので、実際に自分で答えてみたりして練習しました。
2次対策直前セミナーは、定番問題が出れば何とかいけそうだったので4回にとどめ、自宅で更に昨年のような授業でカバーされないテーマが出てきたらと2次試験対策を考えました。
2015年合格者の誉田さんの体験談を参考にさせて頂き、「このテーマが出たらこのように説明しようと日本語でポイントを考える練習していた」というのを参考に、自分なりにパターン化して、アレンジし、このテーマではここに結び付けようなどと活用しました。特に2015年のように、幅広いテーマから出題される時に有効です。2016年は、定番的テーマが多く、富士通訳ガイドアカデミーの2次対策コースで練習したテーマがそのものズバリ出た例も多いのですが、また2015年に戻り、多方面から出題されるかもしれないので、念のため紹介しておきたいと思います。誉田さんには、「沈黙が続くとマイナス評価となるので、必ず何か話さなければ」と教えて頂きました。ご自身は「西国33ヵ所」(2015年出題)を選んだが、主に一般的な遍路の話をしたそうです。これで十分合格になるのだと聞いていたので、直前2週間くらいで、一般の話に持っていく、関連の話に持っていくという準備をしました。日本は、火山、地震国で、台風災害でも危ないようなプレゼンテーションや質疑応答はしない方がいいと言われていたので、そのテーマはなるべく避けて、質疑応答で聞かれると困るので、模範解答を準備しておきました。誉田さんとは、4月と8月の説明会で、短く2回お話しただけですが、外国人を案内する通訳案内士試験の性格やぴったりズバリのプレゼンテーションでなくても、関連していれば合格できるという、非常にいいお話を伺いました。
準備段階で、自分なりにアレンジしたのは、プレゼンテーションで、「出雲大社」(2015年出題)よりもっと馴染みのない熱田神宮や宇佐神宮が出たとしたら、XXX Shrine is one of the biggest shrines in Japan.と言い、何か歴史の話ができないか考えよう。信長の対今川戦の先勝祈願の場所で、これで30秒話せる。神宮は天皇家と関係が深いと話して、他の大きな神社、for example明治神宮や伊勢神宮の説明を加えてみる。神社とお寺の違いを述べるのも時間が稼げるので、2分程度しゃべれる。
テーマを勘違いして、違う話をして受かった人もいるらしいが、こちらからテーマを変えてしまうのはリスクがあると思います。少しでも関連性があれば、話せることに持っていくのも手です。タントラム先生は、「何も出てこない時は、日本語(漢字)の意味を30秒話してもいい」と言っていました。

◆自然系⇒山、川、湖、火山、温泉に当てはめる
◆寺系⇒天国をイメージした庭園と阿弥陀如来、釈迦如来の手のポーズをジェスチャーし、解説する
◆食べ物系⇒デパ地下、居酒屋、デパート食堂街、Plastic food display(そば屋やすし屋)、コンビニ

あまり得意でない場所がでたら、まず西とか北とか、行くルートは新幹線か飛行機で東京からどのくらいかかるかを決まり文句で入れ込み、歴史的な意味があるか、観光地は世界遺産で探していこうと思いました。

4.これから受験される方へのアドバイス

知念先生が、過去問をよく勉強するようにと言われていました。「最近出たからもう出ないではなく、出た問題が出たら必ず得点するくらいの気持ちでやりなさい」と授業中言われました。2016年度の一般常識で、以前出た日本酒の問題が出ましたが、こんなマニアックな問題は出ないだろうと切り捨てていましたが、実際には出題されました。合否に直接影響がなかったのでよかったですが、当落線上であれば大変後悔したと思います。
センター試験での免除は、2016年1月かそれ以前の試験を受けていなくてはならないのですが、私は何も試験の仕組みを知らないで社会科を強行突破しました。私は7月に1週間少し勉強できない時期がありましたが、その後は勉強に専念できました。でもお仕事と完全に両立しなければならない方もいらっしゃると思います。アドバイスというほどでもありませんが、もし2~3年時間をかけてこの試験を受ける計画ならば、1次試験は合格しても1年間のみ有効なだけなので、高校生に交じり、センター試験を受け、日本歴史と一般常識の永久免除を考えても良いと思います。センター試験は奇問難問は少ないと思いますので、一般常識の代わりに現代社会で永久免除を得るのも一つの方法かと思います。

5.富士のよかったところ

他の学校より規模は小さく、本ではなくプリントの配布が主なのですが、良心的だと思います。
他の学校で行う合格祝賀会は会費を徴収するそうです。1年間ある程度犠牲にしてきているので、富士通訳ガイドアカデミーのように無料で祝賀会に招待して頂いてもいいと思います。