通訳ガイド当校合格者北島秀則さん
2016年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

私は大学卒業後、電機メーカーに就職し、半導体部門のエンジニアとして、種々のデバイスの回路設計や設計合理化などに通算30年程従事してきました。仕事柄、顧客には海外の機器メーカーが多かったので、海外出張も多く、打ち合わせやプレゼンで英語を使えないと仕事が進まない。否応なしに英語を使わざるを得ない環境でした。実は大学までは、英語が大の苦手で嫌いな科目だったので、英語の訓練は仕事をするための道具として、シブシブやっていたような感じです。その会社は、社員に対する英語教育は熱心で、グレード別の英会話レッスンやTOEIC講座を提供していましたし、会社ぐるみで年に2回TOEIC受験を実施していました。メーカーを退職してキャリアカウンセリング会社に転職、資格も取って国内企業の社員向けにカウンセリングを始めました。仕事上、英語は全く使わない環境ですが、2年程経った時に、ある企業のインド出身の社員5人のキャリアカウンセリングを担当しました。皆入社して1年程で日本語が不得手でしたので、こちらが下手くそな英語交じりのカウンセリングをやったところ、すごく喜んでくれて“ウケ”が良かったのです。その後も似たような事が続き、こちらも非常に気分が良かったものですから、また英語に関わってみたいと思い直し、2年程前からNHKラジオの「実践ビジネス英語」を聴くようになりました。ちょうど東京オリンピックの開催も決まり、外国人旅行者がどんどん増えている状況で、私も彼らを東京の街中に案内して喜んでもらえたら良いなと思うようになりました。そういう状況下、ラジオ講座のテキストに載っていた広告から“富士通訳ガイドアカデミー”という学校の存在を知り、そこで勉強して通訳案内士の資格を取り、外国人旅行者を案内し、温かい“おもてなし”をしたいと思ったのです。“富士通訳ガイドアカデミー”には、2015年12月開講の通訳ガイド試験受験対策コース(土曜クラス)に入学し、2016年11月に修了。通訳案内士試験は、2016年8月に1次試験、12月に2次試験を受け、2017年2月に合格することが出来ました。

1.1次試験英語対策

私はTOEICのスコアが免除基準を超えていたので、1次試験の英語は受験していません。 しかし、自分の語彙力や英文解釈力の維持向上及び、1次英語の勉強が2次試験に必ず役に立つとの思いから、2015年12月から2016年8月にかけての英語の講義にも欠かさず出席させていただきました。 以下、教材毎にどのように活用したかを書きます。

単熟語集: 全ての単語や熟語をカードに書き写し、中学時代に戻ったような感じで、何度も口に出して覚えようとしました。毎回テストがありますから懸命にやったつもりですが、記憶力の減退は如何ともしがたく、なかなか思い通りには覚えられませんでした。

時事英語集: 上の“単熟語集”とほぼ同じです。

精読用英文: 毎回予習して、自分なりの和訳を作ってから授業に臨みました。先生の模範訳通りにはなかなかいきませんでしたが、4~5行に及ぶ長文の構造を把握する(どこが主語、どこが述語なのか)のに非常に良い訓練になりました。また、各英文のテーマが日本文化に関するものですから、内容に非常に興味が持てました。

小テスト: 全ての問題に何とか答えようとしましたが、毎回時間切れで半分くらいしか回答できませんでした。自宅に帰って、模範解答と自身の回答を突き合わせて復習することで理解が深まりました。

模擬試験: 私は1次試験の英語は免除でしたが、自分のレベルチェックとして受けさせてもらいました。

単語コンテスト: 語彙力のレベルをチェックする為、定期的に実施する事はよいと思います。 レベルアップの励みになります。

2.1次試験社会科対策

私にとって、この社会科の授業が最も役に立ったように感じています。考えようによっては、社会科の出題範囲は無限に広いので、“富士通訳ガイドアカデミー”の先生方が作成して下さる資料に懸けることにし、資料をひたすら読み返し暗記することをひたすらやりました。
歴史は過去問題の傾向から、教科書の中の明治時代以降はあっさり飛ばし、古代から江戸時代までの特に仏教や文化面の事績を徹底的にチェックしました。
地理においては、日本地図帳を一冊買いこみ、配布資料に書かれた温泉や公園などの名所を地図帳で確認し、付近の街の名や、川や山などを目に焼き付けていきました。
一般常識においても同様に配布資料の読み込みをやり、先生が言われる予想キーワードをネットも使ってチェックしました。この分野は多分に雑学的な問題が出題される傾向があります。 従って調べていない部分の問題が出た場合は、「お手上げ」で仕方がないと腹をくくりました。
特に一般常識において不安を抱えて本番試験に臨みました。予想通りにTPPや訪日外国人数に関する問題が出て幸運だったのですが、未チェックのテーマ(イスラム教の料理やコメのブランド名など)については手も足も出ませんでした。結果はおそらくギリギリのところで合格したのだと思います。そのため“攻略法はこれこれ”と言う資格は私にはありません。愚直に先生が作成された資料を読み込み、予想テーマをネットで調べておけば、“滑り込み”で合格ラインに達するのではないかと申し上げておきます。

3.2次試験対策

私は、9月から11月にかけての毎週土曜日に2回分(4時間)出席し、計20回40時間の授業を受けました。毎回、英作文の課題、日本文化・日本事象に関するトピックスを前もって与えられるので、事前にきちんと予習しておくことが肝要です。
英作文は、日本語を読み上げられたら、予習で作って暗記していた英文を思い出して話すように心がけました。最初はなかなか思い出すことが出来ず、やむを得ずノートに書いておいた英文を読んでいましたが、回数が進むにつれて徐々に英語が口から出るようになっていきました。
日本文化に関するトピックスについてのプレゼン演習ですが、配布された資料にトピックスについての説明が載っています。それをノートに書き写し、キーワードについてはネットで調べて2~3行の説明文を英語で作ったりしました。先生に指名されるとプレゼンをする訳ですが、準備しておいた英文を完全に覚えている訳ではないので、違うことを言ったり、文法はでたらめになったりして、非常に耳障りな英語になったと思います。与えられた2分間、話し続けることを心がけるのですが、最初の内は1分程で終わってしまい、気まずい沈黙の時間が流れることがよくありました。
私の場合、英作文もプレゼン演習も、前もって自分なりの回答を作り、それをどれだけ暗記できたかによって、授業での自分の出来が左右されていたように思います。自分で作成した英作文やプレゼン内容をノートに書き写し、何度も音読して頭に叩き込むという古典的なやり方を愚直に続けました。
コースが終わって本番の2次試験まで3週間ほど時間がありましたが、直前セミナーなどには参加していません。授業で扱った英作文や日本事象テキストの内容を繰り返し音読、市販の日本を紹介する本も購入して読み込むという事を実施し、試験に臨みました。

4.これから受験される方へのアドバイス

通訳案内士になる為に勉強する事は、英語力の向上はもちろん、日本の文化や歴史、それに諸々の日本事象について知る事に他ならないと感じました。富士通訳ガイドアカデミーで教えられる事柄、それに試験で問われる事はいわゆる「日本の事」についてです。これまで何十年も日本人をやってきたのに、あまりにも「日本の事」を知らなさ過ぎたと痛感させられました。私は、通訳案内士としてスタートラインに着いたばかりです。日本について知らない事がまだたくさんあり、“あれもこれも調べなければ...”と考えると、気が遠くなるような感じがします。しかし、たゆまぬ好奇心を持って諸々の日本事象を調べ、“おもてなし”の心で外国人の方をガイドしたいと思います。

5.富士のよかったところ

1つ目は、社会科の資料が非常によい事です。特に地理や歴史の資料はキーワードや試験に出るポイントが要領よくまとめられていると思います。
2つ目は、英語の“日本文化・日本事象英文説明テキスト”が、2次試験の対策資料としては非常によいと感じました。各トピックスについての的確な英文説明がなされています。暗記することは大変ですが、ノートに書き写して何度も音読することで、説明内容が頭に残り、プレゼンの際に役に立つと思います。実際に2次試験の対策に大いに活用させていただきました。 また今後通訳案内士として外国人に説明する際、このテキストの内容をベースに使えると思っています。
3つ目は、先生方(知念先生、岩渕先生、Tantrum先生)が非常に熱心に教えてくださるという事です。質問に対する回答は丁寧ですし、熱が入って授業はいつも時間オーバーでした。人によっては時間内に終わらない事を嫌がるかもしれませんが、私は全然苦になりませんでしたし、ありがたいと感謝しておりました。