通訳ガイド当校合格者榎本英剛さん
2020年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

私は現在、東京にある大学院の教員を務める傍ら、フリーランスで研修講師などの仕事をしています。通訳ガイド試験を受験しようと思った動機は以前から通訳ガイドの仕事に興味があったからです。そのきっかけは大学時代に一年休学してオーストラリアにワーキングホリデーで滞在している時、たまたまガイドの仕事をアルバイトでさせてもらったことにあります。半年くらいの短い期間ではありましたが、日本から来る主にハネムーン旅行のお客様を連れてブリスベンやゴールドコーストを案内するのですが、その仕事が意外にも楽しく、帰国して就職活動をする際、旅行会社への就職を一時真剣に考えたこともあります。結局、違う業界の会社に就職することになりましたが、通訳ガイドの仕事に対する興味はずっと持ち続けていました。いつの頃だったかもう忘れてしまいましたが、通訳ガイドになるための国家資格があるというのを知り、いずれ時間的余裕ができたらチャレンジしてみたいと思っていました。そして一昨年の12月、決して時間的余裕ができたわけではないのですが、一念発起して富士通訳ガイドアカデミーの通訳ガイドコースに申し込むことにしたのです。結果的に、コロナウイルスの感染拡大によって研修の仕事がキャンセルになるなど思っていた以上にこの通訳ガイドの勉強に費やす時間が確保できたことも幸いし、1年でストレート合格することができました。

1.1次試験英語対策

私は前述したオーストラリアでのワーキングホリデーを含め、これまで英語圏に合計して約10年居住した経験があるため、英語力にはもともとそれなりの自信がありました。ただ、会話主体でやってきたため、必ずしも文法に対する知識や通訳ガイドの試験に出てくるような語彙が十分ではないと感じており、富士アカデミーの英語授業には真面目に取り組みました。当初は通学コースで始めたのですが、コロナウイルスの感染拡大に伴い、途中から通信形式に切り替えさせていただき、自宅で授業録画を見ながらの勉強にはなったものの、予習・復習を含めて一つの授業も欠かすことなく参加しました。英語授業で一番役に立ったのは毎回行われる小テストでした。ちょっとした緊張感を持ちながら、あのテストを毎週2回繰り返したことは1次英語試験の出題形式や出題傾向に慣れるという意味で本番でも大きな威力を発揮したと感じています。

2.1次試験社会科対策

社会科科目の勉強法についてはそれぞれの科目でやったことを順番に列記したいと思います。地理については、富士通訳ガイドアカデミーから配布されたプリントを使って、国立公園や世界遺産、山や河川、温泉、日本三大○○といったテーマ別に日本全体を俯瞰的に把握するよう努めました。
歴史についてはテキストとして配布された山川出版社の『詳説日本史』を蛍光ペンやボールペンなどを使って重要だと思われる個所に印を付けながら計3回熟読しました。そして、読む際にただ出来事や人物名、年号などを覚えるだけでなく、その出来事がなぜ起こったのか、そしてそれが起こったことの歴史的な意義などコンテクストを追いながら読むように心がけました。そうすることで歴史を大局的にとらえることができた上、記憶にも残ったような気がします。あとは同じく山川出版社から出ている『詳説日本史図録』も購入し、上記のテキストと併読しました。この図録は写真や図が豊富で、目で覚えられるという効果があったと思います。この2科目については、これ以外の勉強法は思いつきませんでした。
一般常識および通訳実務については、ただひたすら富士通訳ガイドアカデミーから配布されたプリントを読み込むことに注力しました。1点、授業の中で確か知念先生がこれら2科目については、試験の際、「もし答えがわからなければ、常識的に考えて答えればよい」とおっしゃっていたのが非常に役に立ちました。1次試験前の1週間は富士アカデミーから配布された過去問を、時間を計りながら実際に解くということをやりました。これは時間配分とか出題形式に慣れるという意味でとても良かったと思っています。
尚、勉強を始める際に、最初に1回分だけで構わないので、過去問をやってみることをお薦めします。これをすることでどんなことに重点を置いて勉強すればいいかのイメージが湧くと思います。

3.2次試験対策

2次試験対策に関しては富士通訳ガイドアカデミーが提供する2次試験対策授業をフルに活用させていただきました。こちらはとにかく場数を踏むことが大事だと感じていたので、再び通学に戻し、なるべく多くの授業に参加し、積極的に手を挙げてその場で通訳・ロールプレイ・プレゼン・質疑応答にチャレンジし、先生からフィードバックをいただくよう心がけました。
先生はカナダ人のブレイ先生とイギリス人のタントラ?先生のお二人がいらっしゃいますが、私は個人的にブレイ先生の授業の進め方の方が性に合っていたため、先生が通しで担当される土曜午後の授業を選んで参加していました(この方が週に1回の通学で済むので楽だという理由もありましたが)。
ただ、個人的に難しかったのは、昨年の試験から1次試験の問題用紙を持ち帰られなくなり、1次試験の結果を予測するのが難しくなったことで、11月初旬にその結果が出るまで2次試験を受けられるかどうかわからない状況で2次試験に向けた勉強を続けなくてはいけないということでした。もちろん、1次試験の結果がどうであれ、勉強したことは決して無駄にはならないと思いつつ、1次試験のいくつかの科目の結果に自信がなかったこともあって、自分のモチベーションを維持するのが大変だったのです。幸い、ブレイ先生の授業は授業自体が楽しかったこともあり、とにかく1次試験の結果は考えず、授業を楽しむよう心がけました。とは言え、11月になって1次試験の合格通知が届いた時には心底ホッとしました。その結果を受けて申し込んだ2次試験直前セミナーでは反動でかなり気合が入ったのを覚えています。
この2次試験直前セミナーは、実際の2次試験により近い形式で行われる上、少人数限定でチャンスが多く巡ってくるので、実際の試験に慣れるという意味ではとても役立ちました。 授業以外でやったことで役に立ったのは、富士通訳ガイドアカデミーで配布された日本の文化や歴史の事象について英語で書かれた「日本事象英文説明テキスト」の小冊子を何度も何度も繰り返し読み込んだことです。そこに掲載された200強の項目はすべて暗記するくらいのつもりで読みました。また、その中でも特に気になる項目についてはネットで検索し、そこに出ている「○○を英語で説明するには」というサイトに書かれた英語の文章も参照するようにしました。2次試験当日、たまたま前日夜にそうやって検索したサイトに書かれていた内容が出題されるという幸運にも恵まれ、無事合格することができました。

4.これから受験される方へのアドバイス

最初から「絶対に1年で合格する」というつもりでやってきたことが一発合格につながったのだと思います。特に、コロナウイルスの感染が拡大して思った以上に時間ができた時には、「これはまさに天の恵みだ」と感じ、今こうして時間が取れるうちになんとしても合格しないと、そのうちコロナ禍が収束し、また仕事が忙しくなったら通訳ガイドの勉強にそれほど時間は避けなくなるだろうと思い、より一発合格への決意が強くなりました。そうした想いがあったからこそ、最後まで諦めずに自分のベストを尽くすべくやれることはすべてやるというスタンスで1年間集中力を持って頑張ることができたのでしょう。たとえば、前項で述べた2次試験の前日にたまたま調べたサイトに書かれていたことが本番で出題されたという幸運も、「試験の前日だし、もう夜遅いからこれくらいでやめておこう」と思って調べずにいたら巡ってこなかったわけで、「あともう1個、あともう1個」と最後まで諦めずにやったことでその努力に天が報いてくれたのではないかと感じています。あともう1つここまでのプロセスを振り返って思うのは、通訳ガイド試験に向けた勉強を決して受験勉強のようにとらえない方がいいということです。たとえば、大学受験とかだと、試験までに勉強したことは必ずしも大学入学後に必要になるとは限りませんが、通訳ガイドの試験の場合は勉強したことのほぼすべてが実際にガイドの仕事をする際に活きてくるわけです。したがって、勉強をしている時も実際にガイドの仕事を自分がすることになったら外国の人たちをどこに連れていきたいのかとか、どんなことをどのように説明するといいのかといったことをイメージしながら勉強しないとそれは活きた知識にならないと思うのです。そういう意味で、通訳ガイドの勉強を始めるにあたって、資格取得をゴールにするのではなく、あくまでいいガイドになることを最終目的とし、資格取得はそのための通過点に過ぎないというふうにとらえることが重要なのではないかと思います。

5.富士のよかったところ

富士通訳ガイドアカデミーに通うことはペースメーカーとして大変役に立つと思います。私自身、つい仕事や他のことに気を取られがちなところがありますが、毎週2回の授業があることで自然と意識を通訳ガイドの勉強に向け続けることができたように思います。
あとは前にも書いたように、英語の授業では小テストを毎回受けたことが自分の中にいい意味での「慣れ」を作ってくれたと思います。ことわざに「習うより慣れろ」というのがありますが、まさにその通りだと思います。
社会科系の科目については、出題傾向や出題ポイントを知るという意味で授業は役に立ちましたし、特に一般常識と通訳実務については富士通訳ガイドアカデミーから配布されるプリントがポイントをかなり押さえた内容になっているため、それを入手するだけでも受講する価値はあると思います。
でも、私個人にとっては何と言っても秋から始まった2次試験の対策授業および直前セミナーが最も役に立ちました。これなくして今回一発で合格することは難しかったと思います。これも前に書きましたが、面接試験に関しては場数を踏む以上に有効な準備方法はなく、外国人教師による本番に即したインタラクティブな授業はその準備をする上で最適だったと感じています。後はスタッフの皆さんが私のイレギュラーな要望にも常に丁寧かつ親切に対応してくださったことに心から感謝しています。