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藤島さん

藤島 宏之さん

富士アカデミー
2014年度合格者

自己紹介

学生時代にポルトガル語を専攻。在学中に1年休学し、イベリア半島滞在。その時の体験が良くも悪くもその後の身の振り方を左右。現地の語学学校で世界各地の同年代と交友を深める。校外では結局英語でのコミュニケーションが優先され、英会話も上達。国によって異なる価値観の認識も身に付いた。卒業後は旅行代理店、語学留学エージェント、IT関連の会社をはじめ、色々な業種を経験。30年近くの東京での生活を経て、故郷の三重県伊賀地方への帰還。忍者、松尾芭蕉を始めとする観光資源をベースに地方創生に携わるビジネスの開拓を模索中。

<私のモットー>
勉強、調査、下見では、どこまでやってもまだまだ十分ではないという姿勢を日々持ちつつ、実際にお客様を案内する際は自分がNo.1のガイドであると自分に言い聞かせる。フレンドリーかつカジュアルに接し、お客様を楽しませつつ、ツアーがスムーズに運ぶよう気を配り、気付かれず全てをこちら側でコントロールするようにする。これを私はツアー・ジェネラルシップと呼ぶことにしている。

旅行の概略

日程: 2016年4月6日(水)
お客様: ドイツ人母娘の2名
訪問箇所: 法隆寺―東大寺―春日大社―興福寺

ガイディングの実際

お客様滞在先ホテルから車での奈良1日観光。

9時にホテルマイステイズ京都四条出発。
車中で雑談。理由としては、お客様の食事の好みを探るためだが、食事はあまり興味ないらしく、見所を見て回るのが最優先ということが感じとれた。とにかく時間を無駄にしないというのもあり車を手配したのであろう。
10:30ごろ法隆寺到着。時間の関係上、西院伽藍をメインに案内。順序としては、五重塔−回廊−大講堂−金堂。晴天で青空の中に聳え立つ五重塔の光景にお客様大喜び。五重塔の初重の4面は扉が開いており中の塑像を拝見出来るので、4面それぞれ説明。長々とは説明せず、簡潔にわかりやすく。興味をお持ちいただけた。回廊の柱がギリシャ風である説明。その後のスポットでもいっぱい見ることになるので、仏像の説明を大講堂の薬師三尊像と四天王像から、そして、金堂に移って、釈迦三尊像。あっと言う間に時間が過ぎてしまったが、大宝蔵院を見学して有名な百済観音像をご覧いただいた。
すでに12時半近く。東大寺に1時ごろ到着。時間があれば奈良公園散策も予定ではあったが、早々に鹿の歓迎を受けたのでこの時点でその必要はなくなった。南大門の金剛力士像の説明。阿吽の説明をする。あきれる程の大きさに信じられないご様子。そして大仏殿。大きさに当然驚かれる。仏陀の身体的特徴の説明をする。娘さんはシンガポール在住でタイの釈迦涅槃像をご覧になったことがあるそうだがそれより大きいとの印象を持たれた。大仏の裏手には創建当初の伽藍のレプリカがあり、境内の左右には七重塔があったのを知っていただけた。子供が柱の穴をくぐっているのをご覧になられ楽しまれた。大仏殿前にある、びんずる様を触ると病気が治ると言われていることをご紹介。
車で春日大社本殿に一番近い駐車場へ。手水舎で清め方の説明をし、実際にデモンストレーションする。藤原氏によって創建され、雷の神で刀の神であるタケミカヅチノミコトが白い鹿に乗って表れたので鹿を大切にしていることの説明。20年ごとに建物や調度品を新調する式年造替制度のため、仏教寺院に比べて圧倒的に新しく見える。今年がその年にあたる。二礼二拍手一礼が参拝の仕方で、手を合わせるお寺とはやり方が違う。入り口を幕で覆い内部を暗くし釣燈籠に光を灯した幻想的な雰囲気の藤波之屋をお楽しみいただいた。
最後に興福寺。国宝館は人によってはもの凄く時間をかけることがあるので先にご案内した。午前中に法隆寺が聖徳太子により創建されたと説明したのを覚えていてくれていたのか、太子の像を見てプリンス・ショートクとおっしゃられた。子供当時の像なので、太子が2歳の時、東を向いて手を合わせて拝んでいると、手から仏様の骨がこぼれ落ちたという伝説があると補足させていただいた。旧山田寺仏塔の表情がお気にめしたようであった。阿修羅はそれほどでもなかった。シンガポール在住だからお分かりだろうと思い、八部衆像のカルラはガルーダであると説明した。何とか境内を散策する時間がとれたので、春日大社と同じ藤原氏が創建、また、五重塔が法隆寺のそれとは建物の特徴が違う説明をした。明治の廃仏毀釈で相当ダメージを受け寺の維持が困難となり、大多数の寺宝を明治政府に売却したことを付け加える。猿沢池の向こう側が絶好の撮影スポットであるのでご案内した。
4時ごろ車でホテルに向かう。ほぼ5時にホテルに帰着していただけた。

ハプニング

ドイツ人は時間に正確とよく言われるのだが、本当に9時ぴったりに現れた。こんなお客さんは初めてであった。説明は手短に要点を判りやすくするよう心がけたが、吸収力が非常に高いと感じられた。こんなお客さんも初めてであった。そんなこんなで、こちらもやる気が出過ぎてしまったのか、お客さんが昼飯は抜きでもしっかり見て回る姿勢を見せたのもあり、受けてたってしまった。かと言って抜きにするのもあまりなので、路上で売っている団子を買って昼食を短時間で済ませた。 娘さんは、写真を撮り過ぎる傾向があった。カメラマン役もすることとなった。

新たな発見

春日大社の藤波之屋。幻想的ですばらしい。

面白い質問・意外な質問・難問・珍問

京都から奈良に行く途中、典型的田舎の風景が広がっていたが、そこの人達はどうやって生計をたてているのか?と聞かれた。車で仕事に行き、週末は畑仕事。定年してからはもっぱら畑仕事と答えた。

このツアーで特に準備したこと

ドイツ人なので、基礎的教養が高いと思い、出来得る限り仏教思想と仏像の意味を整理した。
また、建築物の特徴も頭に入れるようにした。ある意味、英語圏のお客さんを案内する時以上に準備したかもしれない。

このツアーで特に配慮したこと

ホテルでお出迎えした時に気付いたのだが、お母様が足に少し問題がある気配があったので、極力歩かせないように気を配った。

旅を終えた感想

さすがドイツ人。合理的というか、見るべき物を見て回るのが最優先となります。しかも、こちらの説明の吸収力がこれまで案内したお客さんの中で一番かもしれません。とてもやりがいを感じれました。
英語圏のお客さんだと、ガイドしながら一緒に楽しむ感じがああるのですが、今回は本当にガイドをやった実感があります。そうは言ってもカジュアルにおしゃべりするのが自分のスタイルでもあるので、それはやりました。おかげで面白い話も結構聞けました。ケルンビールとデュッセルドルビールのライバル関係とか。 車なので、移動中に英語で落語でもやろうかとも考えていたのですが、助手席に座っていたので正面が向けず断念しました。世間話をする流れにしましたが、人の顔を見ないと会話している気にならないので、首が痛くなりそうで少し窮屈だったかもしれません。

私のお勧め観光スポット

伊賀上野。忍者、芭蕉はもちろん、伝統工芸、和菓子屋の多さ、日本酒。観光資源が豊富にあります。

Short Essay

ガイド試験の勉強を始めてからというものの、必要にせまられてのこともあるのだが、仏教オタクっぽくなったかも知れない。かと言って自慢出来るほど知識が蓄積されたわけではない。それでも、仏像の特徴というかその仏像の得意分野でと言うのか、不空羂索観音菩薩が気になる。羂索という綱で一切の衆生を救うらしい。ようするに奈落の底に落ちた者をもそのロープで引き上げるわけだ。何かカッコ良すぎるではないか。若い二入がロッククライミング中に一方が足を滑らしもう一方が片手で引き上げる栄養ドリンクのCMがあったのを思い出した。

勉強中の後輩へ励ましの言葉

いきなり、0が10になるはずはありません。現時点でのベストを尽くしながら、自分が出来る範囲で一つずつ増やして行けば良いと思います。他の方の勉強法を参考にするのは良いことだと思いますが、自分のレベルを他人と比べるのは、自分を見失うことになりかねないので避けた方がいいと思います。
一つずつでいいと思います。一つ積み上げる事が出来た事実に自信を持つことが重要だと思います。

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