通訳ガイド当校合格者原口 佳子さん
2008年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

通訳ガイド試験を勉強するようになったきっかけですが、外資系の会社に勤務していまして、外国よりいろいろな国籍のビジターが来日すると、時折、ビジネスの合間に、どこか外を案内してきて、と頼まれることがあります。桜の時期なら、上野公園、日本情緒なら浅草、若いお嬢さんにおみやげを頼まれたという方は原宿、渋谷等、いろいろな場所を案内したのですが、その度に感じましたのは、ただその場所に一緒に行くことしかできず、場所についての説明、建物、まして歴史、由来の説明が全くできないということでした。とても興味をもっていろいろ質問をなさるのに、(それこそ小さい子供のように)何も答えてあげられず、そんな自分にイライラし、最後には質問自体が疎ましく感じられることもしばしばでした。
日本人だから、当然知っているだろうと思われることを知らず、また自分の発する情報が、日本人の代表的に受け取られてしまう。仕事場を離れて、外を案内すること自体はよかったのですが、段々と、頼まれると気が重たくなってしまう状況でした。そんな時、通訳ガイドという職業を知り、この勉強をしたならきっと自分が得られることは大きい、英語とともに日本を勉強してみようと決心したのでした。2006年の春のことです。
通訳ガイドの学校をインターネットで探し、面倒見の良さで評判の富士通訳ガイドアカデミーにお世話になることにしました。

1.1次試験英語対策

富士アカデミーから出される毎週の課題は、必ず準備して授業に出るようにしました。

(1)単語
教材の単語集を見たとき、あまりにも知らない単語ばかりなので、びっくりしました。 単語を単語として覚えるよりも、文章の中で覚えて印象づけるために、必ず辞書を引き、例文やイディオムがあればそれを自分の単語ノートに書き込んで、覚えるようにしました。富士の"必ず出る単語集"は素晴らしいです。私はペーパーバックが大好きで、いつも何か読んでいるのですが、その日に覚えた単語がその日のうちにペーパーバックのページの中に出てきた、ということが本当に何回もありました。そのたびに、うれしくて勉強は無駄じゃないと、励まされました。

(2)精読英文
富士から出される精読英文は、私が普段絶対に読まないような、タイムズやエコノミストから出題されます。最初は、何の話かもわからないほどでした。それでも、とりあえず訳していくうちに慣れてきますし、今度はどんな話題なのだろうか、と楽しみにするようになりました。自分の訳を発表する場もありますので、先生方からどんな評価をいただけるかも、勉強の励みになります。毎回小テストがあり、月1回模擬テストでも、自分の勉強の成果がわかります。富士に入ったばかりの最初の模試では平均点すれすれだったのですが、2007年8月の公開模試では1位をとることができました。富士から出される課題をとにかくこなしていくうちに、知らず知らず、実力がついていたのだと実感しました。

2.1次試験社会科対策

まず、勉強する範囲の広さ、修得する知識の量に驚きました。一般常識はともかく、歴史、地理は私にとって、知識はおろか、興味さえもあまり持てない分野でした。とにかく勉強するしかないと思い、富士アカデミーからもらった勉強スケジュールに従がって、進めることにしました。

(1)地理
自分で国立、国定公園ミニガイドブックのようなものを作ってみようと思いました。まず、国立公園、国定公園の名所が掲載されている旅行会社のパンフレットをもらってきて、公園の名所の写真をすべて切り抜き、1次試験対策テキストにある公園説明文をすべてタイプし印刷ました。それから公園ごと紙に一枚ずつ、公園の説明文、関係する写真を貼り付け、特徴を文章と写真で覚えました。 帝国書院のホームページに"都道府県のすがた"というページがあり、すべての都道府県別に、県名の由来から人口、特産物、郷土料理、何でもナンバーワンなど、とてもいい情報があります。 富士アカデミーの白地図帳は白地図を何枚もコピーして、それに、河川名、温泉名、山の名前を書き込み、場所と名前を覚えました。 山中先生から紹介された受験研究社の"小学社会 白地図まとめノート"は、山や川がどの県にまたがって通っているかということから、遺跡、古墳の場所、おもな輸入品と、輸入先など、とても参考になりました。

(2)歴史
なかなか進んで手に取る読物ではないので、電車の中では必ず山川の教科書を読みました。これで必ず毎日歴史に触れるようにしたのです。 教科書の知識を確実にするため、大学入試用の問題集を用意しました。ガイド試験では歴史用語が多く出題されるので、歴史用語から事象を覚えるクイズ形式の問題集がとても役に立ちました。できなかったところはチェックして、反復して覚えました。本当に細かい事柄がガイド試験に出されたので、こちらも大学入試並みの勉強が必要だと実感しました。

(3)一般常識
1次試験対策テキストは何度も反復勉強しました。 覚えた内容をテストするために、入社試験用の一般常識問題集で勉強しました。いろいろ幅広い常識問題が載っているので、これもまた勉強になりました。 富士アカデミーの邦文3科目集中セミナーも非常に役に立ちました。いろいろな事柄を印象に残るように授業してくださいます。今でも先生の授業風景が目に浮かぶくらいです。一生使える知識も授けていただきました。

3.2次試験対策

2007年に1次試験を終えた後、結果に自信がなく、すぐ2次試験対策に集中することができませんでした。合格の通知が届いてから、慌てて勉強を始めて、結果としてその年の2次試験は不合格でした。ある程度英語を話せていたし、私は日本人なのだから、日本について何か聞かれても、その場で何とか答えられるだろう、という甘い考えがあったのです。でもやはり、国家試験、そんな風に底の浅い考えは、すぐ見破られてしまったようです。 2008年の2次試験に向けて、気持ちを切り替えていく途中、山中先生の"日本語で知らないことは、英語でも説明できません。まずは日本語できちんと説明できるよう、自分なりに日本事象をまとめましょう、英語はなんとかなります。"というアドバイスを思い出しました。 それから、2次試験対策テキストや、インターネット、その他ガイドブックを駆使して、日本事象を調べ、自分用の"参考書"を作りました。トピックは、最終的に250以上になりました。人の書いた英語はやはり覚えにくいので、自分の英語にして、印刷し、ファイルにまとめ、それをぶつぶつ部屋の片隅で音読し、暗記するようにしました。最後は夢の中でも、覚えた文章を暗唱しているほどでした。自分で調べるといろいろな発見がありますので、とても印象に残り、また他の人とは違うアプローチができます。自分で調べたことは忘れませんので、ぜひ、皆さんにもこれはお勧めします。実際、2007年、2008年に合格された方の中で、ご自分の"参考書"を作った方々が多いように思われます。

4.これから受験される方へのアドバイス

勉強の範囲が広く、最初は圧倒されることと思います。生活の中で、勉強だけに集中できる時間を持つことさえも、難しい時もあります。何か自分なりの目標を立てると、勉強もはかどるのではないでしょうか。授業には必ず出席する。出される課題は必ず取り組む。このほかに、たとえば、単語テストでは、100点を目指す。必ず毎日、たとえ15分でも勉強をする。
自分の勉強時間が少ないのでは、まだまだ内容が足りないのでは、不安になる材料はいくらでもありますが、少なくとも自分の目標をこなしていれば、自分には負けていない、と安心できます。 また、自分なりにいろいろ興味を持ち、調べるということも大事だと思います。この勉強、特に2次対策を通して、インターネットがない時代の受験勉強は、本当に大変だっただろうと痛感しました。以前に、通訳ガイドの仕事を紹介していた雑誌で、"通訳ガイドの必須条件は?"という問いに、ある通訳ガイドの方が、一つには"インターネット等での情報検索が好きな方"と、答えていました。

5.富士のよかったところ

富士アカデミーのホームページにあります、"富士の生徒は必ず伸びる!富士の生徒は必ず合格する!"の一言に尽きます。私が証明です。富士の教材、課題、授業は素晴らしいです。それを生かすのは自分自身です。先生方の授業、アドバイスに従って、努力さえすれば、絶対合格できます。また、いろいろな年代、バックグラウンドの方々と、同じ目標に向かって一つの教室で勉強することは、普段経験できないことであり、私の人生を豊かにしてくれた素晴らしい経験でした。先生方から頂いた、さまざまな温かい励ましの言葉には、受験勉強中だけでなく、これからも折にふれ思い出し、励まされることだと思います。