通訳ガイド当校合格者岩渕 雅孝さん
2010年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

今から10年前に海外出張業務(内部監査)を終え、55歳の定年を迎えて、子会社に移籍する時に富士通訳アカデミーの門を叩き、土曜日午後コースを1年間受講しました。知念先生の名和訳に魅せられて勉強しましたが、1次試験で失敗、その後も通信生として1年コース継続しましたが中途で断念してしまいました。
新しい仕事(不動産業の総務管理)が忙しかったせいもありますが、「ガイド」になる気持が足りず、勉強に身が入らなかったことも大きな理由でした。
この間、地元、柏の英会話サークルで「ジャパンタイムズ」を教材にして、英語力のキープに努めていましたが、もう一度、英語を生かした仕事をしてみたいとの思いが募り、昨年春、ガイド試験再挑戦を決意しました。以前通っていた「富士通訳ガイドアカデミー」を訪ねたところ、「数年前から英検1級合格者は英語1次試験免除」とのアドバイスを頂き、「1次社会科対策コース」と「2次対策コース」を申込みました。思えば大学4年で合格した英検1級が、通算6年半の海外生活と通算5年の海外出張生活の基礎となり、今回のガイド試験の一助となった事に深い感慨を覚えます。

1.1次試験英語対策

今回は試験免除でした。

2.1次試験社会科対策

歴史と一般常識には自信を持っていましたが、地理は苦手で、富士アカデミーの教材、地理白地図帳を徹底活用しました。 知念先生の手作りプリントも、○○富士、○○三景、○○三大祭と類型的に記憶でき、大変役立ちました。聞き覚えのない地名は観光案内のパンフレットを(無料で)入手し、視覚的に覚えるようにしました。関東近辺の観光地、温泉は、出来るだけ訪れ、五感全部で記憶に残るよう努めました。得意と思っていた日本史も、仏像や絵画に疎い事が判り、「山川日本史教科書」と「山川詳説日本史図録」でイメージを掴み、いつかは本物を見に行こうとの楽しみさえ、抱けるようになりました。
模試では得意としていた一般常識も、本番では合格点ギリギリの59点(自己採点)に終わってしまいましたが、富士アカデミーで学習した分の取りこぼしが少なければ大丈夫のようです。今年の問題はかなり細かい数字を問うものがあり、観光白書に目を通しておけば有利の思いもありますが、少ない時間を有効活用する状況からは、知念先生のプリントの数字をベースに日本財政の実態、日本観光産業の展望を問題意識を持って勉強する事と、新聞、雑誌のトピックスに地道に毎日目を通すことの積み重ねが大事と思います。一般常識では過去問はあまり役立ちませんが、地理、歴史では必須で、問題を解くことにより知識も確かなものになると実感しました。

3.2次試験対策

4月下旬から1次試験前まで、毎週木曜日通算15回、ブレイ先生に学びました。2時間のレッスンの中、1時間少々はプリント教材を中心にフリートーキング、残り40~50分で模擬インタビューテスト(Mock Interview)という内容ですが、先生の巧みなリードで好奇心を刺激され、日本文化、日本事象をさらに学ぼうという意欲が養われました。
インタビューの訓練はフリートーキングと全く違い、口は強張り、頭は真っ白といった状態が何度か続きましたが、回を重ねるごとに少しずつ対応できるようになりました。私のように英語を話す環境にない人は、出来るだけ早く、多くのレッスンを受けた方が良いと思います。1次試験合格の後、9月末から2次面接直前まで更に2次対策セミナーを毎週木曜日1時間(夜間クラス)受講しました。インタビューテストを中心として、タイプの違う4人の先生にそれぞれ違ったアドバイスを頂き戸惑いましたが、ブレイ先生の「桜の名所なら2箇所、中身を濃く」と、グラスバーガー先生の「It's my pleasure being here...」と表現と表情の特訓、ジョーンズ先生の「質問には的を外さず、明快に答えること。出身地を聞かれたら土地の紹介等で時間も稼げる。常にガイドの気持ちで答えよ」等は実際の試験で有益だったと思います。

4.これから受験される方へのアドバイス

生来丸暗記が不得手で、覚えるときは何か理屈をつけたり、何度も紙に書いて覚えることしか出来ず、地理、歴史は、写真やエピソードを仕入れて、やっと自分のものにできる状態でした。ただこうして得た知識は、丸暗記の記憶より長持ちし、人生に彩りを与えてくれそうです。
これからする勉強が、ガイドの仕事のみならず、実生活にもきっと役立つとの思いで頑張って下さい。 2次対策のインタビューテストは、知っていることと、それを瞬時に表現することの違いをイヤという程認識させられました。フリートーキングなら自分の好きなことを自分のペースで、笑みを浮かべてしゃべれるのに、数あるパターンの質問には予想に反すると一瞬頭の中が白くなり、目が泳ぎ始める。こうした体験を何度か味わい、臨機応変のリスポンス訓練と、3~5分で質問に要領よく答えられる訓練は1人では出来ず、セミナーに参加して初めて味わえる事です。
同じセミナークラス生が講師の予想外の質問に四苦八苦している様子に、「あんなにできる人でも・・・」とほっと安心してみたり、よくある質問とはいえ、スラスラと答えている様子に「ム、ム、あんなに膨らましてしゃべれないな」と大いに刺激を受けたりの毎日で、この経験が本番で大いに役立ちました。
現在英語をしゃべる環境にない方は、出来るだけ早く、出来るだけ長く、このセミナーに参加されれば、きっと得るものが多いと思います。

5.富士のよかったところ