通訳ガイド当校合格者下牧 眞さん
2018年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

2016年10月にそれまでの40年に渡るフルタイム勤務からリタイヤし、その後ある企業に誘われ1年ほどのアドバイザーとしての仕事をした後、自分自身の得意な英語を使用した仕事ができればと考えていました。
通訳ガイドのことは学生の頃から知っていたのと、2016年頃もすでに多くの外国人訪問客の増加を目の当たりにしていたので、チャレンジすることにしたのが、2017年4月でした。やはり専門の学校に通い、強制的に勉強する必要を感じ、ネットで調べてすぐに富士通訳ガイドアカデミーの門を叩いた次第です。
英語については米国州立大学サンフランシスコ校に留学経験(1973年~1975年)があり、また会社勤務時は長らく米国・欧州へのビジネスに関わっていたので、当地の方々とのコミュニケーションには特に問題がない程度でした。ただし慣れていたとは言え、メールなどの書く・読むはほとんどがビジネス英語であることと、会話もそれに関わる交渉事か雑談程度でしたので、大学受験以来の筆記試験についてはかなりの勉強が必要だろうなぁとは考えていました。
以上のように留学や海外ビジネスの経験も合わせて、リタイヤ後の仕事には打ってつけではないかと考えたのが、通訳案内士試験受験の最大の動機でした。
2017年4月に富士通訳ガイドアカデミーに入学し、4ヶ月後の8月に一次試験(英語・地理・歴史・一般常識の4科目)を受験した次第ですが、残念ながら地理が不合格となり、2018年度はやはり4月から再度、富士通訳ガイドアカデミーにて地理と追加科目の実務に取り組んだ次第です。
詳細は下記に記載しますが、お陰様で2018年はこの2科目に無事合格を果たし、その年の12月の二次試験に進み、ようやく通訳案内士試験合格となった次第です。これについても詳細は下記に記載します。
いずれにしましても、久しぶりの試験勉強でしたが、リタイヤした後の自由な時間を持っているというメリットを活かし、約2年間ではありましたが、一年目の富士通訳ガイドアカデミーでの通訳ガイドコース(週二日コース)や、二年目の地理と実務及び二次試験に向けた集中コースを含め、ほぼ毎日やり通したことが良かったと、今は考えています。

1.1次試験英語対策

英語の勉強では富士通訳ガイドアカデミーの必須単語・熟語集をしっかり記憶することに集中しました。約2000語収録されていますが、最初、ページをパラパラと開いた時、ほとんどの単語の意味が分からないことに愕然としたものです。授業の最初に出される単語口頭問題は、答えられないことが恥ずかしいこともあり、しっかりと暗記することに専念できました。一次試験までに約1500語ほどでしたが、記憶できたことが最大の勝因の一つだったと思います。
もちろん、精読用英文のテキストでは、正しい翻訳を毎週予習したこと、これも読解力+単語暗記に役立ちました。 授業の度に小テストをしましたが、その中での、二、三行ではありましたが英作文問題は、やはり正しい英語を再認識するために役立ったことと、あとで認識しましが、二次試験での二分間プレゼンや通訳問題にも大変役に立ちました。
いずれにしましても、これはどの教科にも通じますが、7月頃に行われる模擬試験と富士通訳ガイドアカデミーで配布される過去問は試験の傾向に加えて、過去問との比較などもでき、試験に対する自信にも繋がりました。 とにかく、英語であれどの教科であれ、すべては観光に関係することが問われるので、それぞれの教科を勉強することで英語試験に対する知識も蓄積できました。あとは英語の読解力がしっかりあれば合格できるわけですから、やはりできる限り多くの単語を覚え、どのような英文でも理解できるようにすることだと思います。

2.1次試験社会科対策

私の場合、英語と異なり、地理や歴史は全く自信がない科目でした。模擬試験までは英語に集中していたので、模擬試験は自分の知識の無さの再認識のつもりで受験しました。模擬試験の前には社会科の授業もあったのですが、テキストの厚さと内容の多さと、自分が全く物の知らない人間であることを再認識させられた授業ではありました。結果、模擬試験は惨憺たる結果となりましたが、始めから短期集中でやるつもりでしたので(早くから覚えても多分忘れるのも早いので)、そこからがスタートでした。
暗記物は人それぞれの方法があると思いますが、私の場合は配布されたテキストの中の一問一答や同じく配布された過去問と模擬試験を繰り返し解答することで暗記量を増やしました。試験は4択や5択なので、正答以外のこともネットやテキストで調べ、暗記するように努めました。その結果、試験に出てくる正答内容の4倍、5倍の多さで知識を得たことになりました。2ヶ月弱の期間でしたが、かなりの程度で社会科も自信を持ち始めていましたので、1年目の地理不合格は全く不本意でした。
ただし2年目は不合格の地理と追加項目の実務だけなので、1年目と同様に地理も実務も富士通訳ガイドアカデミーの授業まで待ちました。
その代わり、2年目の一次試験は合格するつもりでいましたので、4月には2次試験対策短期集中コースを受けました。コースのテキストには観光地理に関する事柄も多く含まれていたことで、地理の暗記にも相当部分役に立ったと思います。
社会科の授業が始まってからは地理に集中し、前年と同様の方法で暗記していたことの確認作業という感じでした。ただし、2年目は出てきた土地名を地図帳で確認し、印を付けて行くことで場所の感覚も養いました。実務については過去問がないのと、分厚いテキストブックでしたが、基本は模擬試験の内容と一問一答に集中し、繰り返しの方法で勉強した次第です。基本的には常識的なことの設問で、特に一定の状況下でガイドとしてお客様に対してどのように対応するか、という観点で設問されていたと思います。
結果は両科目ともお陰様で90点以上の高得点を得ることができました。
実務科目について補足すると、合格した後、旅程管理主任者資格を取りましたが、この試験内容とかなり合致するところが多く、しっかりと暗記することは後のことにも役立つように思います。
その他ではテレビのクイズ番組はできる限り見るようにしました。最後の方は、地理・歴史問題なら大概は答えることができる程になっていました。
また、クラブツーリズムとJRジパング俱楽部の会員になっていましたので、会報誌に掲載されている観光地案内にも目を通し、観光地理の情報を蓄積したことも役立ちました。

3.2次試験対策

2年目は一次試験の自己採点で合格の自信を深めましたので、富士通訳ガイドアカデミーで9月の2次試験対策短期集中コース及び直前セミナーをそれぞれ10回受け、4月分も含めて30回受けたことになりました。また、1年目の通訳ガイドコースに含まれている面接練習も含めると都合40回を受けたことになりました。要するに、二次試験は富士通訳ガイドアカデミーで配布される二次試験用のテキストにあるトピック集を、例文も参考にしながら自分の文章にし、トピックのお題に対してどうプレゼンするかを箇条書きで暗記し、数をこなすことで、どのようなお題が来ても大丈夫なようにすることだと思います。
コース以外の勉強はお題を2分で言えるよう計りながら空でいう練習を何度もしました。
もう一つ気を付けたことはプレゼン中の態度です。試験官に対するスマイルとアイコンタクトが合格のためには大変重要だと思います。
通訳問題では、1年目の通訳ガイドコースで行った小テストの英作文問題の日本語を録音し、それを聞いたあと通訳をする練習を何度も行い、メモの方法などを特に気を付けながら練習を行いました。
実際の試験での試験官は、ネイティブは30代のアメリカ人らしき男性と日本人は50前後の女性でした。プレゼントピックは①花見②鳥居③水引でした。もちろん①の花見を選び、練習の成果を発揮できたと思います。2分間のプレゼンの後の質問は(もちろんネイティブの英語)「自分は花見に行きたいが、混んでいるところは避けたい。どこを推薦しますか?」という内容でした。私の住まいが西葛西で葛西臨海公園を良く知っているので、そこの桜について「桜が公園内の道路の両側に100メートルほど並んで立っており、桜のトンネルのようですばらしいのでそこを推薦する」と答えました。次は通訳問題です。日本語の内容は「長野県に猿が入る露天風呂があり、とても人気がある」などの内容でした。4項目ほどあったうち、1項目メモできず飛ばしたようでしたが、なんとかできた感はあります。この後、再度質問がありました(ネイティブの英語)。「自分にはタトゥーがあるが、旅館で温泉に入りたいが大丈夫か?」という内容でした。最初、「そのタトゥーが小さいならパッチを持っているからそれで隠せば大丈夫」と答えたところ「自分のタトゥーは大きい」と来ましたので、「通常、旅館には家族風呂というプライベートな温泉風呂があるが、そこを借りれば他のお客様とは別に入れるし、しかもプライベートに過ごせる」と答えました。次の質問は「今後は温泉旅館のタトゥールールについてはどのようになると思うか?」に対して、「現在は、年配のお客様も多く彼ら彼女らはタトゥーに対してネガティブなイメージを持っているが、若い世代の海外への渡航も増え欧米でのタトゥーに接しているので、タトゥーに対するイメージも変わる。それと共にルールにも変化が現れると思う」と答えました。結果、無事合格と相成りました。

4.これから受験される方へのアドバイス

とにかく勉強するしかないですね。一次試験はすべての科目が観光に関わる設問なので、その点を良く認識することだと思います。二次試験ではお題についてプレゼンできるようにすることは当然ながら、お客様に対するようにスマイルとアイコンタクトを忘れずに、ですね。

5.富士のよかったところ

英語では、精読用英文のテキストは題材も良く翻訳練習には丁度良い難しさであったと思います。必須単語・熟語集は重要ポイントです。精読翻訳文とこれを暗記することで英語読解力は合格です。社会科のテキストは試験問題の出そうな箇所を的確に記載してありました。また一問一答と模擬試験は合格のために大変役立つものでした。