通訳ガイド当校合格者三浦孝夫さん
2019年度通訳ガイド試験当校合格者

<自己紹介>

私は、愛知県刈谷市に在住しております。3年前に会社を定年退職しましたが、学生時代から英語学習が好きで、大学のESSサークルに所属し、会社では20代後半に米国の大学のMBAコースへの留学を経験し、また仕事を通して米国への長期出向、欧州諸国への多くの出張経験を持ちました。
そうした経緯で英語でのコミュニケーションへの関心が高いため、定年退職後もこれまでに培った英語の能力と英語への関心を活かせる活動を行いたい思い、自宅から比較的近い知多半島のSGG(Systematized Goodwill Guides)クラブに入会しました。
そのクラブのメンバーの勧めがあって、2018年に全国通訳案内士試験を受験し、1次試験で日本地理、一般常識、実務は合格しましたが、日本歴史が不合格でした。(1次試験の英語は、TOEIC 900点以上で免除でした。)2019年に2度目の挑戦で1次試験の日本歴史を合格し、2次試験も合格することができました。
知多半島SGGクラブの活動を通して、英語で愛知県内の観光スポットを案内することの楽しさを知り、ボランティアの通訳ガイドとは言え、観光スポットや日本文化を案内するためには、案内する対象に関しての深い知識が必要であることを理解しました。
また通訳ガイド試験の勉強を行う中で、日本の文化、歴史に対する理解が深まり、日本人としてきちんと理解し説明できると良い事柄に関して、多くの知識を得られたと思います。現時点の日本文化、歴史、観光スポットに対する知識は、プロとしての通訳ガイドに要求されるレベルに対しては、まだまだ初歩的なレベルかと思いますが、それでも会社勤めをしていた頃に比べれば、知識がかなり深く体系的になってきたように思います。
今年は、新型コロナウィルスの影響で、外国人観光客が前年比99.9%減という未曽有の事態になっており、プロの通訳ガイドの皆様におかれましては、大変なご苦労をされていることと思います。しかしながら、今後の長い将来を考えると、魅力的な観光資源を豊富に持つ日本での通訳ガイドのニーズは、いずれ近いうちに復活しその後更に発展するものと思います。
そういう環境の中で、私としてはチャレンジ精神を持ってプロの通訳ガイドの仕事に取り組み、定年後の第2の人生を充実したものにしたいと願っております。

1.1次試験英語対策

上述の通り、TOEIC 900点以上で免除されました。
また、40年以上前に英検1級試験を一度合格しましたが、そのことを持っても1次試験の英語科目が免除されることを後日認識しました。
尚、2019年に2度目の通訳ガイド試験を受験するに当たって、富士通訳ガイドアカデミーの1次試験対策コースが2次面接試験対策用にも効果があると伺い、英語の1次試験対策コースを名古屋校で受講しました。

2.1次試験社会科対策

受験初年度の2018年は、受験対策用の参考書を数冊購入し、独学で挑戦しました。6月に通訳ガイド試験受験申込を行ってから、1次試験まで2カ月程度の準備期間でしたが、過去年度の地理、歴史、一般常識を解答してみて、合格ラインの70点以上が取れたので、何とか合格できるのではと期待しつつ受験しました。
1次試験では、法改正によりこの年から追加された通訳案内の実務は、参考書に乗っている基本的な事項の設問が多くほぼ満点で合格し、あまり得意でない地理の試験も割と楽な設問が多く合格でき、一般常識は業界人向けの設問も多く楽ではありませんでしたが何とか合格できました。一般常識は、あくまで外国人ゲストを案内する通訳ガイドとしての一般常識で、最近話題になっていることへのアンテナの高さが問われると感じました。
問題は歴史の試験で、過年度に比べて著しく難解になっていたことと、残念なミスもあり66点で不合格でした。受験者の平均点が低い時には合格ラインが下げられる場合もあるとの情報を当てにして期待していましたが、合格ラインは厳格に70点以上でした。
設問に対する答えの選択肢を全て読まないと解答できない問題が多く、時間に余裕がありませんでした。残念だったのは、織田信長関連の「姉川の戦い」や、百人一首関連の天智天皇の歌など、じっくり考えれば3~4問は正解できたと思えたことで、この年の歴史の不合格は、悔しい思い出です。
翌2019年は、1次試験は歴史のみのため、富士通訳ガイドアカデミーの1次試験対策コースで歴史を受講し、また知念先生がオリエンテーションで高校の教科書レベルでの設問だと言われていましたので、山川出版の教科書を数回読んで試験に臨みました。ところがこの年も歴史の設問は前年以上に難解で、試験時間の最後の1秒まで使って解答しましたが、試験終了直後はまた不合格かと思うほどでした。簡単に正解が分かる設問は少なく、答の選択肢の文中に間違い部分を見つけて消去法で選んだ答が正解であったという問題が、5問位はあったと思います。結果的には79点で合格でしたが、消去法での正解選びを含めてしぶとく解答したことが報われたと思います。
正解できなかった設問で印象に残るのは、「東福寺は東大寺と興福寺の字を取って名付けられた」(正解)、「熊本城は加藤清正が城を築いたことを祝って隈本から熊本に文字が変わった」(正解)の設問で、間違いが仕込んである答が正解に見える罠にはまって間違えた悔しさが今も残ります。
これから受験される皆様には、受験準備の勉強をされることは勿論大切ですが、試験本番の限られた時間の中で、正解がすぐに見つからない場合に、間違い探しによる消去法や記憶からの閃きなどによって、しぶとく解答する事が私のアドバイスです。特に歴史と一般常識は、知識、記憶、勘を全て使って解答するに値すると思います。

3.2次試験対策

2018年は1次試験の歴史で不合格でしたので、2次面接試験に進めませんでしたが、難解であった歴史が70点未満でも合格の可能性があるかという期待から、富士通訳ガイドアカデミーの2次試験対策コースを通信コースで受講しました。この時の印象は、東京のクラスの状況を毎週DVDで送って頂き、自ら受講者になったつもりで、2分間プレゼンテーションや通訳を行う方式でしたが、東京のクラスの受講者の方々のレベルの高さに圧倒されました。特に2分間プレゼンテーションは、選択したテーマを2分間話し通すことが困難でした。また日本語文の通訳もメモ取りができず苦労しました。

2018年は、結局、歴史が不合格で、2019年に再挑戦することになりましたが、1次試験対策コースが名古屋で開校され、2次面接試験にも役立つと伺い受講しました。2次試験に合格した今、振り返って思うことは、2018年に実力が備わっていない段階で、2次面接試験に行かなくて良かったということです。2018年に実力不足を感じながら通信コースを受講しことで、2次面接試験のイメージを把握しつつ基礎的なトレーニングができました。また2019年に名古屋校で、1次試験対策コースを受講し松岡(ようこ)先生のご指導を頂いたことも、大いに役に立ちました。このようなコースを受講し月に1度ですが、同じメンバーと受講することで仲間意識を感じつつ1年間という長期の継続的な取り組みを行えたことが大きかったことと、松岡先生に2次面接試験を意識したプレゼンテーションを行う機会を作って頂いたことに感謝しています。
2次面接試験に対しては、前年の9月から準備を続けましたが、1次試験の合格結果を受け取り、いよいよ1ヶ月後に2次面接試験が迫ると、2分間プレゼン、通訳、ロールプレイの全てがプレッシャーになって来ました。自信が持てず、上手くやれそうに思えない気持ちに支配されていましたが、それを救ってくれたのは、大阪校で受講した2次面接試験対策直前セミナーでした。講師のGreg先生が、プレゼンテーションを行う時に、選んだテーマについて話す内容の3~4項目を初めに言ってからその順で話していき、話の途中で2分間の時間終了になることがベストだと教えて頂き、参考になりました。実際にそのやり方で一つのテーマのプレゼンを行い2分間話し通したところ、“完璧だ”とのコメントを頂き、大きい自信になりました。大阪校に2回通いましたが、模擬面接試験の貴重な経験が得られました。
2次面接試験当日は、会場の設定、試験の運営の仕方がいかにも厳格で、受験する前に緊張感に耐えられなくなる方も多いのではと思いましたが、私は、大阪校での2次面接試験対策直前セミナーのお陰で、あまり緊張せずに本番で力を出し切ることができ合格できました。

4.これから受験される方へのアドバイス

通訳ガイド試験を受験される皆様は、英語の能力、日本の文化や名所をガイドされる志において、既にレベルの高い方が多いと思います。
通訳ガイド試験をいかに合格するかという点では、1次試験においても2次面接試験においても、指定された会場で限られた時間内に如何に実力を出すかが重要だと思います。もちろん、受験に向けて色々な勉強の仕方で準備することは重要ですが、受験準備で培った実力を試験本番で落ち着いて集中して出し切ることが大事だと思います。 1次試験では、最近2年は、日本歴史の設問の難解さが際立っていますし、一般常識も普通の一般常識とはかけ離れた通訳ガイドならではの一般常識です。40分間、20分間という短い試験時間の中で、知識、記憶、勘を総動員して解答する必要があり、答えをズバリと知らない設問に対しても、消去法からの正解の絞り込みや、関連する記憶からの類推などによって、しぶとく粘って解いていくことが必要と思います。
私は英語が受験免除でしたが、英語の試験では、1問に5点配点されている文法・用法の正しい答を選ぶ設問が、70点以上の取得に大きく関わります。ここでは絶対的な正解文を見つけるより、選択肢の文中の文法・用法の間違いを見つけて、間違いの無い答を正解として選ぶ手法を習得することが重要だと思います。
2次面接試験に対しては、富士通訳ガイドアカデミーの2次試験対策コース、1次試験の合格発表後の2次面接試験対策直前セミナーがともに効果が高いと思います。また、富士通訳ガイドアカデミー以外の教材も併せて参考にして、自分がプレゼンテーションする時に最も違和感なく使える自分オリジナルの表現の説明文を出来るだけ多くのテーマに対して作り、繰り返し練習することが良いと思います。
また、試験本番において不思議なことに、これまでに受験準備と直接関係のない活動で取り組んで来たことが役に立つことに気づかされます。私の例では、通訳ガイドボランティアの活動の中で、小学生が海外で寿司について説明する文を英訳した経験がありますが、その内容が2次試験の日本語文の通訳の内容に大変に近かったということがあります。どこで何が活きるか分かりませんが、仕事であれ、ボランティアであれ、趣味であれ英語や通訳ガイドに関連する事で真剣に打ち込んでやった事は、通訳ガイド試験の本番で潜在的に役に立つことがあることを、心に止めて頂ければと思います。

5.富士のよかったところ

富士アカデミーのコースを受講して感じることは、代表の知念先生をはじめとして、講師の先生方の魅力があることです。1次試験対策コース(名古屋校)でお世話になりました松岡先生は大変に気さくな方で、自らの通訳ガイド試験での失敗や不合格の体験を語ってくださり、ご自身の失敗経験を踏まえた試験対策をアドバイスして頂きましたので、大変に参考になりました。また2次面接試験直前対策セミナー(大阪校)のGreg先生は、2次試験の中での中心的な位置づけの2分間プレゼンテーションに関して、極意とも言える対応方法を伝授して頂きましたが、この受講が無ければ2次試験に自信を持って臨めなかったと思います。
こういう講師の先生方が指導される富士通訳ガイドアカデミーの対策コースは、アットホームな雰囲気で授業が進められることも魅力の一つです。私が受講した1次試験対策コース(名古屋校)、2次試験対策コース(通信コース)、2次面接試験対策直前セミナー(大阪校)のいずれにおいても、受講者間に仲間意識があり、ともに頑張ろうという温かい雰囲気を感じました。
年に1度だけ行われる言わば非情の全国通訳案内士試験に対して、モティベーションを落とさずに取り組むことは、個人としての学習だけでは難しいと思います。富士通訳ガイドアカデミーの対策コースにおいて、受講者に対して仲間意識を持って取り組める場を提供されていることは、大きい評価ポイントであると思います。
通訳ガイド試験の対策コースとして、試験対策に役に立つ知識とともに、英語で日本文化、日本事象を説明するための奥の深い英語指導や、富士通訳ガイドアカデミーオリジナルの単語・熟語集などの教材も、試験対策指導の目的を超えて、通訳ガイドを志す者にとっての貴重な学習材料になると思います。